「りんごが赤くなると医者が青くなる」と言われるほど、りんごは健康増進に効果があることで知られている果物です。
となると、愛犬にも食べさせてあげたくなりますよね。
りんごの可食部分には犬に害のある成分は含まれていないため、犬に食べさせても大丈夫です。
むしろ、犬の健康に役立つ成分が豊富に含まれています。
ただし、りんごを食べさせるなら適量や注意点を知っておくことが大切です。
このコラムでは、犬にりんごを食べさせるメリットや注意点と、適量について解説しています。
Contents
犬の健康にも良い効果が期待できるリンゴの成分
りんごの約80%は水分、約15%は炭水化物と言われていますが、ビタミンやミネラルなどの栄養素と食物繊維も豊富に含まれています。
その中から、犬の健康にもメリットが期待できる成分について見ていきましょう。
犬にメリットのあるりんごの成分:有機酸
りんごに含まれている有機酸のクエン酸とリンゴ酸には、疲労物質の乳酸を減らし、炎症を鎮静化させる効果が期待できます。
また、胃の働きを補って消化吸収を促進する効果も期待できるため、夏バテする時期のトッピングにぴったりです。
犬にメリットのあるりんごの成分:ペクチン
りんごには不溶性食物繊維と水溶性食物繊維が含まれていますが、注目したいのは水溶性食物繊維の一種ペクチンです。
ペクチンは粘性のあるとろみが特徴で、腸内で善玉菌のエサになることで知られています。腸内環境を整えて免疫力アップの効果が期待できる成分といえるでしょう。
犬にメリットのあるりんごの成分:ポリフェノール
りんごには約50種類のポリフェノールが含まれており、そのうちの6割以上を占めているのがプロシアニジン類です。
プロシアニジン類は血流改善・抗アレルギー作用・老化防止・炎症抑制作用など、様々な効果が期待できることが確認されています。
犬にりんごを食べさせるときに注意すること
りんごには犬の健康にも効果が期待できる成分が豊富に含まれていますが、食べさせるときには注意しなければいけないことがあります。
可食部分以外を食べさせるのはNG!
りんごの可食部分(皮と実)以外の芯・種・じくを食べさせるのはやめておきましょう。
りんごの種や芯の部分には、アミグダリンという有毒成分が微量に含まれています。
アミグダリンを含んだ芯や種を犬が食べてしまうと、腸内で分解されてシアン化水素という猛毒の物質を発生し、アミグダリン中毒を引き起こす原因になるからです。
芯や種はそもそも食べさせない、と思われるかもしれませんが、飼い主さんの知らぬ間に誤食するかもしれません。
愛犬にりんごを与える時は、芯や種などの始末に気を付けましょう。
飲み込みやすい大きさにして与える
ある程度の固さがあるりんごは、シャリシャリした食感が魅力ですよね。
犬もりんごの噛み心地を好みますが、丸呑みしても問題のない大きさにしてから与えないと、喉に詰まらせてしまうかもしれません。
りんごはバナナのように柔らかく潰れないため、万が一喉に詰まってしまった時は窒息の危険性があります。
リンゴを与える際は「すりおろす」「薄切りにする」「千切りにする」といった、安全に配慮した形状にしてから与えるのが一番です。
りんごアレルギー
りんごには含有量は多くありませんが、タンパク質が含まれています。そのため、アレルゲンとなる可能性がゼロとは言えないため、食べた後の様子に注意しましょう。
万が一りんごを食べさせた後に嘔吐・下痢・皮膚の赤みといった症状がみられた場合は、すぐにかかりつけの動物病院を受診してください。
また、りんごと同じバラ科のイチゴ・桃・サクランボ・梨などを食べさせた際にアレルギー症状が出ているなら、りんごにも反応する可能性があります。
犬に食べさせてもいいりんごの適量
りんごには犬の健康に効果が期待できる成分が、たくさん含まれています。
しかし、食べさせ過ぎればメリットはデメリットに転じてしまうでしょう。
りんごは糖分を多く含んでいるため、食べ過ぎると肥満や糖尿病の原因になる可能性があります。
りんごを食べさせるメリットを最大限に活かすためにも、犬に食べさせてもいい適量を守ることが大切です。
一般的な考え方として、犬に与えても良いオヤツやトッピングの量は、1日分のカロリーの1割程度が目安と考えましょう。
● 体重5kg程度の小型犬→1日に食べさせてもいいりんごの量は30g
● 体重10kg程度の中型犬→1日に食べさせてもいいりんごの量は50g
一般的なりんご1個の重さは約300gですが、皮を剥いて芯を取り除き、8分の1にカットしたりんご1個の重さがおよそ30gです。
愛犬が喜んで食べるとつい多めにあげたくなりますが、適量を守ることこそが愛犬の健康につながります。
犬にりんごを食べさせるタイミングと皮の扱い方
せっかく愛犬にりんごを食べさせるなら、メリットを最大限に活かしましょう。
犬にりんごを与えるベストなタイミング
りんごには胃腸の働きをサポートする有機酸(リンゴ酸・クエン酸)が含まれているため、ドッグフードのトッピングにすると消化を補う効果が期待できます。
また、夏バテや加齢などで食欲が落ち始めているときは、ドッグフードを食べさせる30分程度前にすりおろしたりんごを食べさせて、胃の働きを活発にしてあげましょう。
りんごの皮の扱い方>
りんごの皮と実の間にはポリフェノールやペクチンが豊富に含まれているため、皮を剥かずに食べさせても大丈夫です。
ただし、皮には不溶性食物繊維が多く含まれているため、細かく刻まないと犬の胃腸では消化ができず、かえって負担をかけることも…。
りんごに含まれている栄養を余すことなく活かすなら、皮つきのまますりおろすのが一番です。
なお、りんごの皮にはワックスが塗ってあるから食べさせないほうがいいというウワサがありますが、これは事実ではありません。
りんごの皮が光っているのは、りんご自身が身を守るために作り出している天然のワックスで、成分はリノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸といわれています。
もちろん犬に食べさせる前に水洗いはすべきですが、洗剤で洗う必要はありません。
犬の胆泥症にりんごが良いという説は真偽不明
犬とりんごの関係を調べていると、「犬の胆泥症(たんでいしょう)にはりんごが効果あり」という情報を見かけることがあります。
胆泥症とは、何らかの原因によって胆汁が濃縮し、変質してドロドロの泥状になったもので胆嚢が詰まってしまった状態のことです。
この胆泥症の改善にりんごを食べさせると良いという説ですが、これは真偽のほどが不明。
りんごに含まれているリンゴ酸にはコレステロールを溶かす効果があるとのことですが、犬の胆泥症に効果があるというエビデンスは確認できていません。
ただし、胆泥症の食事療法においては、消化がしやすく低脂肪の食品を与えるのが基本です。となると、りんごは胆泥症の犬の食事に向いていると考えられます。
つまり、こういった情報がめぐりめぐって「胆泥症にはリンゴが効く」となってしまった可能性があるのではないでしょうか。
適量を守ってりんごの恩恵を受けよう!
犬にもある程度の好き嫌いはありますが、りんごは比較的どんな犬も喜んで食べる果物です。
適量と与え方に注意すれば、りんごに含まれる成分が犬の健康に役立ってくれるのではないでしょうか。
どんなに健康に良い食べ物も、適量を守らなければ意味がありません。
美味しくて栄養たっぷりのりんごは適量をしっかり守り、愛犬の食生活に上手に加えてあげましょう。