一昔前まで犬は屋外飼育が一般的でしたが、今は室内飼育が8割を超える時代です。家の中のどこにいても愛犬の存在を身近に感じられる生活は、間違いなく楽しいものになるでしょう。しかし、犬との生活をより快適なものにするには、正しい飼い方が求められています。
その筆頭にあげられるのが、犬用サークルを使った「犬の居場所」を作ることではないでしょうか。
このコラムでは犬のサークルが果たす役割と、どのようなポイントを重視して選べばいいかを解説しています。
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犬の室内飼育でサークルが果たす大切な役割
「犬は24時間室内で自由にさせるつもりだから、とりたててサークルは必要ない」と考える飼い主さんは少なくありません。また、「サークルやケージは愛犬を檻に閉じ込めるようでなんだか可哀そう」と感じているかたもいらっしゃることでしょう。
しかし、より快適に愛犬との室内生活を楽しむなら、サークルには大きく分けて3つの重要な役割があります。
1. 犬が安心して過ごせる安全地帯としての役割
犬にとって心身ともに落ち着けるのは、自分の体が囲まれているコンパクトな空間です。これは犬の先祖が外敵から身を守るために、周囲から襲われにくい横穴のような寝床を選んできた習性の名残といえるでしょう。
私たち人間はサークルやケージなどの囲まれた狭い空間を見ると、なんとなく「この中にいたら窮屈そう」と感じてしまいますよね。しかし、犬にとってはこの「狭くて窮屈そうな空間」こそが、落ち着いて過ごせる場所なのです。
サークルやケージのように囲まれた狭い空間を「心身の安全地帯」として持たない犬は、不安なことが起きるたびに、自由に行動できる広い空間のすべてを守ろうとします。
その行動が、とてつもなく大きなストレスにつながることも…。
とは言え、ただ単に閉じ込めただけでサークルやケージが犬にとっての安らげる場所になるわけではありません。犬が自分から入りたくなるサークルやケージこそが、犬が安心してくつろげる安全地帯の役割を果たしてくれるのです。
2.飼い主と犬の正しい主従関係を教える役割
犬がサークルを自分の居場所として正しく認識することは、しつけの面でも重要です。犬が群れを作る動物だということはよく知られていますよね。犬にとって群れの中で理想としているポジションは「強いリーダーの命令に従って行動する下位の犬」です。
では、なぜ犬はリーダーより下位を望むのでしょうか。それは、リーダーは常に群れ全体に気を配り、危機に対していち早く立ち向かわなければならない、ストレスの多いポジションだからです。
つまり犬が飼い主に従わず問題行動を起こすとしたら、飼い主が犬にとっての正しいリーダーになれていないことが原因であることは間違いありません。
愛犬にとっての頼れるリーダーになるためにも、「そこにいなさい」と命じられたら素直に入りたくなるサークルやケージがあることは、犬に正しい主従関係を教えるうえで大いに役立つのです。
3.生活空間の中で犬と人を物理的に区切る安全確保の役割
サークルやケージには安全確保を目的に、同じ空間で生活する人と犬の間に物理的な境界を設ける重要な役割があります。
たとえば、次のような状況を考えてみましょう。
- 来客の予定があるが、犬が苦手だと聞いている
- 子連れの友人が遊びに来るが、愛犬は幼児の振る舞いが苦手
こんな時、犬をサークルやケージに入れておくことで守られるのは、実は人間側の安全だけではありません。サークルやケージは犬にとって苦手としている相手、あるいは見知らぬ相手と物理的に距離をとることができる安全地帯そのものです。
また、飼い主さんの留守中に電化製品のコードをかじったり、思わぬものを誤飲するといった事故を防ぐうえでも、サークルはとても有効といえるでしょう。
犬と人が同じ生活空間で過ごすなら、事故が起きてから対処するのでは遅すぎます。あらかじめ事故が起きないように安全を確保することが、なにより大切ではないでしょうか。
犬と人の快適空間作りに役立つサークルの選び方
サークルとケージはどちらも囲まれた空間に犬をいさせるツールですが、一般的な見方をすると次のような違いがあると考えられます。
- サークル → 主に部屋の一部に設置して使われる一定のスペースを囲むための柵
- ケージ → 移動用としても使いやすい上下左右が囲まれている箱のような形状
どのようなサークルが愛犬の居場所として最適なのかは、住環境や生活スタイルによって違います。
一律ではないからこそ、サークルを購入する前にまずは家の中のどの位置に設置するかを考え、そのうえで過不足のない大きさの空間を用意することが望ましいといえるでしょう。
犬用サークルの形状は設置場所や用途を考えて決める
サークルは一般的な四角形の他に、用途にあわせて六角形・八角形などを選択することもあります。
部屋の間取りや置き場所、あるいは人間の動線を考慮したうえでどのような形にするのかを考えると、最適な形状が見えてくるのではないでしょうか。
- 壁際に寄せて設置 → 長方形・正方形
- 部屋の中央に設置 → 正方形・六角形・八角形など
また、サークルは屋根付き・屋根なし・床面付きなど選択肢の多さもメリットの一つです。
- 屋根付き → ジャンプ力のある犬、脱走癖のある犬、留守番の多い犬
- 屋根なし → 一時的なプレイスペースとしての使用
- 床面付き → トイレトレーニングが完了していない、床面を水洗いしたい
犬との生活をあれこれシミュレーションしながら、最適なサークルの置き場所を考えましょう。
犬用サークルは過不足のないサイズ感がベスト
犬が自分の居場所として快適に過ごせるサークルは、広すぎず狭すぎずのちょうど良い広さが望ましいといえます。
サークルのサイズをどの程度に設定するかは、次の3つのポイントをもとに考えましょう。
- サークル内に寝床とトイレスペースをある程度離して設置できる
- 寝床とトイレ以外のスペースにゴロリと横になれる程度の余裕がある
- 屋根がある場合は足を真っすぐにして立つことができる、ない場合は簡単には飛び越えられない高さが確保できる
複数枚の柵をつなぎあわせるタイプのサークルは、成長に合わせて空間を広げることが可能です。また、サークル内に寝床代わりのケージを設置するという方法も便利ですよ!
犬のサークルを設置する場所の選び方
常に群れのメンバーの近くにいたい犬にとって、サークルを設置する最適な場所はリビングといわれています。しかし、リビングの中であればどこでも良いというわけではありません。
犬のサークルは次のポイントを充分に考慮したうえで、設置場所を決めましょう。
- 人の往来が激しいドア付近は避ける
- テレビやオーディオなど音が出る機器の近くは避ける
- 夏は風通しが良く直射日光があたらない
- 冬はぽかぽかと暖かいが直射日光は長時間あたらない
- エアコンで室温調節する際は直風があたらない
- 床暖房がある場合は暑くなった時に避難できる空間が確保できる
- 敏感な犬・興奮しやすい犬は窓の外が見える位置はできるだけ避ける
- サークルの周囲に転倒や落下の危険性があるものは置かない
上記は犬の目線からみた理想的な設置場所のポイントですが、だからといって人間の動線の邪魔になるような場所に無理に置く必要はありません。
大切なのは犬と飼い主さんの双方が快適に生活できることです。掃除のしやすさなど人間側の都合もしっかり考慮したうえで、愛犬のサークルの設置場所を決めましょう。
犬のサークルをインテリアの一部として楽しもう
犬のサークルといえば柵を組み合わせたシンプルなものを想像されるかたが多いと思いますが、実はインテリアのように置けるおしゃれなデザインのものがたくさんあります。
お部屋の床材やインテリアなどのテイストと合わせつつ、機能性も充分なサークルを選べば愛犬との暮らしがますます楽しくなるのは間違いありません。
愛犬が家族の一員としてすぐそこにいる生活の楽しみ方は、まさしく無限大ですね!