あなたは犬とのコミュニケーションが取れていますか?
犬の気持ちを正しく読み取れている自信がありますか?
人(特に日本人)においては「目は口ほどに物を言う」というように、言葉に出さなくても目を見ることで相手の気持ちを汲み取るという感覚を持っています。
それが犬の場合は目ではなく「しっぽ」ということになります。
このコラムでは犬の気持ちとしっぽの関連性や、しっぽのヒミツについて紹介しています。
Contents
しっぽの状態と犬の気持ち
まず大まかに判断できる見方として、しっぽの位置(高さ)が挙げられます。
位置が高いほど、支配性をもって相手(他の犬や人)を見ていると言われています。
つまり自信の表れということになります。
逆にしっぽの位置が低いほど、服従心をもって相手を見ていると言われています。
これだけでも、しっぽの位置が高いときは強気、低いときは弱気だという大まかな気持ちを汲み取ることができます。
それでは、もう少し細かくパターンを分けて見ていきましょう。
① 大きくブンブンと振る
これはもっとも有名なケースだと思いますが、しっぽを大きく振るのは相手への好意を表しています。
犬と顔を合わせたときにしっぽをブンブンと振っていたりすると「あ~、喜んでくれてるな」とこちらも嬉しくなりますよね!
ただ、振り方によっても意味合いが変わってきます。
② しっぽを垂らして左右に振る
勢いよく振るのではなく、しっぽを柳のように下に垂れた状態で左右に振る場合は、リラックスできているということです。
家の中など、その場所が安全だとわかっていて、知らない人や犬もいないような状況でよく見られます。
③ 腰をくねらせるようにしてしっぽを振る
身体を丸めるように、腰から動かしてしっぽを振るのは、甘えている証拠です。
一緒に遊んでほしい、撫でたりしてスキンシップをとってほしい…というように、何かを欲していると考えられます。
④ しっぽを水平にピンと突き出す
しっぽを振らずに横にまっすぐ突き出しているときは、何かに注目して集中しているときです。
「あれは何だろう…」とじっと観察しているときのしっぽの形です。
ここであわせてチェックしたいのが「毛が逆立っていないか」という点です。
もし身体の毛が逆立っている場合は、何かに怯えていたり警戒しているという可能性もあるので、犬の目線の先に気をつけてみましょう。
⑤ しっぽを脚の間に巻き込む
しっぽが両脚の間に入り込むくらい下がっている場合、まず一つ考えられるのは何かに怯えているということ。
さらに、姿勢を低くしてじっと動かなかったり、背筋の毛が逆立っているような状態であれば、何かに警戒して攻撃をするか逃げるかの判断を迷っている最中という可能性があります。
息が荒くなったり、足の裏に汗をかいていることもあるので、参考にしてみてください。
もしくは小刻みに震えているような様子が見られる場合は、身体のどこかに痛みを感じている可能性もあるので、どこかに外傷がないか、歩き方や姿勢に違和感がないか等、注意深く観察してあげた方がよいでしょう。
⑥ しっぽを脚の近くまで下げる
身体の高さは通常の位置でしっぽだけ下がっているときは、精神的または肉体的にストレスを感じていると考えられます。
何か心当たりがないか探ってみて、極力その原因となっているものを解消してあげましょう。心当たりが全くない、常にしっぽが下がっている、といった場合は、一度動物病院に相談してみることをオススメします。
自分のしっぽを追いかけてぐるぐる回る理由と注意点
かわいい動物の映像としてテレビやネット上でもよく見かける光景ですね。
犬には逃げるものを追いかける習性があります。
しっぽを追いかけるのは、この習性によって遊び感覚でぐるぐると回っていると考えられます。
子犬のときにはよく見られる行動ですが、一般的には成長するにつれて減っていきます。
また、飼い主さんに構ってほしくて気を引くためにアピールとして回っている場合もあります。
回っているのが面白くて愛くるしいなぁと思って喜んだりスキンシップを取ったりすると、犬が「褒められた」と勘違いしてしまい、頻度が上がったり追いかけ方が激しくなったりとエスカレートしていく可能性があるので、可愛くても過度に反応するのはぐっと堪えておきましょう。
そして気をつけたいのは、他の目的で回っている場合です。
それは「ストレス解消」。
興奮状態や強いストレスを感じているときに取る行動でもあるんです!
①チェックしておくべき項目
成犬になってもぐるぐる回る頻度が変わらず、遊びの度を超えているように感じる場合は、以下の点についてチェックしてみてください。
・5分以上続けている
・制止しようとしてもやめない
・しっぽを威嚇している(唸り声を出す/歯を剥き出す)
・しっぽが傷んでいる(毛量が減っている/出血している)
このうちどれか一つでも当てはまったら注意が必要です。
②ストレスの主な原因
ストレスによってぐるぐる回っている場合には、その原因となっているものを排除してあげることが重要です。
考えられる代表的な原因は、
・飼育環境(極端な温度/騒音/食事など)
・運動不足
・散歩の無理強い
・痒み(皮膚病やノミ・ダニなど)
・スキンシップ不足
・家族の不仲(喧嘩が多い/虐待など)
・環境変化(家族の増減/引越しなど)
・多頭飼いにおける犬同士の相性
・てんかん(しっぽに追われているという錯覚を起こすことがある)
などが挙げられます。
犬も人間と同じように、ストレスを長期間抱えていると身体の免疫機能が低下して、病気にかかりやすくなってしまいます。
ここで挙げた項目を参考にして、普段の犬の生活環境や習慣などを振り返ってみましょう。
ストレスになっているかもしれない部分が飼い主さんですぐに出来ることであれば、まずはそこから手をつけて変えてみましょう。
それでもぐるぐるとしっぽを追いかける行動が続く場合や、てんかんや皮膚病のようなケースであれば、早めに一度動物病院で診てもらいましょう。
意外と知らない?しっぽの役割
しっぽは振り方で気持ちを表す役割があることが分かりましたね。
しかししっぽの役割はそれだけではありません。
意外に知られていないしっぽの秘密もご紹介します!
① 寒さから身を守る
犬も人間と同じように、寒いときには体を丸めます。
このときのしっぽをよく見てみましょう。
犬の種類やしっぽの長さにもよりますが、身体にしっぽを巻き付けるように、ピッタリと添えていませんか?
じつはこうして犬は身体を温めています。
人間でいうところのマフラーのような役割をしているんですね!
また、しっぽで鼻先を隠すように覆ったりすることで、鼻から冷たい空気を吸わないようにしていることもあります。
このように、しっぽは寒さから身を守ってくれる重要な役割も持っています。
② バランスを取る
しっぽのもう一つの役割は、身体のバランスを取るということです。
外を走り回ったり、ジャンプしてボールをキャッチしたり、大きく身体を動かす機会は多いですよね。
そういうときにも倒れたりしないように、じつはしっぽを器用に振りながら身体のバランスを取っているんです!
それから水に入って泳ぐときには、舟の舵のような役割を果たしています。
猫がヒゲを使って平衡感覚を保っているのと少し似ているかも…?
動物も言葉を話せるなら、気持ちを汲んであげやすいでしょう。
しかしそうはいかないのが現実。
言葉の代わりに気持ちを伝えてくれるしっぽや、いろんなヒントを日頃から見逃さないようにすることで、愛犬を助けたり一緒に喜んだりできるはずです!
たくさんのコミュニケーション手段を覚えてしっかり意思疎通を取れるようになってくると、信頼関係も高まっていきます。
信頼し合えるパートナーと、より一層充実したペットライフを送っていきましょう!