犬のリードといえば、「散歩に必要な道具」というイメージが強いですよね。
もちろん、愛犬を散歩させるとき、リードは絶対に欠かせません。
しかし、リードは単に犬をつないでおくためだけの道具ではなく、飼い主さんの意思を愛犬に伝える重要なアイテムでもあります。

この記事では、犬と暮らすうえでなぜリードが欠かせないのかを詳しく解説しました。
家の中での活用法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

犬のリードが担っている3つの大切な役割とは

リードをつけられた犬は、自由な動きを制限されることになります。
そのため、リードに対してなんとなくネガティブな印象を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、犬の動きが制限できるアイテムだからこそ、大切な役割が果たせるのです。

犬のリードの役割①:愛犬の安全を守る

散歩の時にリードを装着するのは、愛犬を危険から守るためです。
うちの犬はしっかりトレーニングをしているから、リードでつながなくても大丈夫、と考えるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、どれほどトレーニングを重ねたとしても、突発的な出来事で犬が興奮したりパニックに陥ることはありえることです。

我を失った犬の耳には、呼び戻そうとする飼い主さんの声は届きません。
あっという間に走り去ってしまうことも珍しくないのです。

すぐに追いかければ捕まえられる、と思うかもしれません。
しかし、犬の身体能力は素晴らしく、超小型犬のチワワでさえ、本気を出せば50mを7秒前後で走れるのです。
慢性的な運動不足を自覚している大人が、そう簡単に追いつける速度ではないですよね。

リードをつけていない犬は、自動車・バイク・自転車などとぶつかって交通事故に巻き込まれる危険性が高いといえるでしょう。
また、飼い主さんの目の届かないところで拾い食いなどをするかもしれません。
万が一それが毒性のある物だとしたら、中毒を引き起こす可能性も…。

こういった命にかかわる危険性から愛犬を守るためにも、散歩をする際には犬の動きを正しく制御するための、リードが必要なのです。

犬のリードの役割➁:周囲の安全と社会的なマナーを守る

犬のリードには、愛犬だけではなく周囲の人や動物などを守る役割もあります。
リードが外れた状態の犬が交通事故に巻き込まれたとき、犬だけではなく自動車を運転していた人、あるいはバイクや自転車に乗っていた人までケガをさせてしまうことになるかもしれません。

さらには興奮した犬が通行人に飛びかかってしまったり、他所の犬とトラブルになる可能性も考えられます。
仮に何もしなかったとしても、犬が苦手な人や犬にアレルギーがある人にとっては、近くにノーリードの犬がいるだけで恐怖や不安を感じることになるでしょう。

また、犬が勝手に他所の家の敷地内に入り込み、排泄をしたりその家の犬とトラブルになるといった迷惑をかけてしまうことも考えられます。
リードを正しく装着して、周囲の人や動物の安全を守る――これは、犬と暮らしている飼い主がきちんと守るべき社会的なマナーです。

犬のリードの役割③:飼い主との意思疎通(主従関係)

リードは犬を逃がさないためのもの、というイメージが先行しがちですよね。
しかし、リードの最も重要な役割は、実は「飼い主の意思を伝える」リードコントロールです。

リーダーウォーク(リードを引っ張らずに飼い主の斜め後ろについて歩くこと)がきちんとできるようになると、リードは常にたるんだ状態になります。
その状態で歩けるようになると、飼い主はリードを介して意思を伝えることができるのです。

たとえば、なんらかの原因で犬が興奮しそうになったとします。
そんなとき、飼い主がリードに軽くテンションをかけることで犬の意識を飼い主の方に向かせ、「落ち着きなさい」と伝えることができるわけですね。

主従関係をしっかり愛犬に認識させるうえでも、リードはとても重要な役割を果たしてくれるのです。

リードは場面に合わせて使い分けるとより便利

リードには様々な種類があります。お散歩用のリードがあればとりあえず事足りますが、それではちょっともったいないような…。
場面に合わせて使い分けることで、リードはどんどん便利アイテムになりますよ!

スタンダードリード

最も一般的な「散歩ひも」です。犬のサイズに合わせてひもの長さや太さを選ぶのはもちろん、首輪をつなぐ金具部分(ナスカン)の強度も重要なポイントといえるでしょう。

フレキシブルリード

巻き尺のような形状をした「巻き取り式のリード」です。
公道を歩くときはひもの長さを短く、広い場所で遊ばせるときは長くといった調節がボタン一つで簡単にできます。

ロングリード(トレーニングリード)
呼び戻しやマテなどを教える時に使う「トレーニング用のリード」です。
2m~50mまでといろいろなサイズが選べますが、とっさのコントロールは難しいため、通常の散歩用には適していません。

ショートリード

スタンダードリードより短く、基本的には「体高のある犬用のリード」といえるでしょう。
超大型犬・大型犬・中型犬などのリードコントロールがしやすくなるため、メインのリードとしても使いやすい一本です。

マルチファンクションリード(ハンズフリーリード)

飼い主さんの体に斜め掛けしたり腰に巻きつけて使う「両手が空くリード」です。
通常の散歩というよりは、ランニングやトレッキングといったアウトドアで機能性を発揮するリードといえるでしょう。

リードを家の中でも使いこなそう

リードは散歩のときに使うもの、というイメージがありますが、実は家の中でも役立つアイテムです。

次のような場面では、室内でも犬をリードでつないでおきましょう。

● 犬が好きではない人がたずねてくるとき(相手に恐怖感を与えない)
● 宅配便などを受け取るとき(宅配業者の安全を守り、犬が外へ出てしまうのを防ぐ)
● ガラスや陶器など、犬が踏むとケガをする危険性のあるものを片づけるとき(犬の安全のため)
● 家具や家電の搬入などで扉を開け放しておきたいとき(犬が外へ出てしまうのを防ぐ)

とっさの時でもすぐに愛犬をリードでつなげるよう、散歩用とは別に室内用を1本用意しておくと便利です。また、リードフックをあらかじめ壁などに取り付けておくと、室内用のリード置き場としても使えて一石二鳥ですよ。

リードフックにはデザイン性の高いものが数多くありますので、インテリアを損なうこともありません。

お散歩デビューの前に家の中でリードの練習をしておこう

子犬はお散歩デビューのときに初めてリードをつけると、嫌がって歩こうとしないことがあります。
スムーズなお散歩デビューを飾るためにも、まずは家の中でリードに慣れさせておきましょう。

リードをつけられるのが当たり前の状態になっていると、リーダーウォークなどのトレーニングがしやすくなります。

リードは拘束具ではなく楽しいドッグライフのお助けアイテム

リードにはどうしても「犬の自由を奪うもの」というイメージが先行しがちです。
しかし、きちんと主従関係が築けている飼い主さんと愛犬にとって、リードはもはや拘束具ではありません。

正しくリードを使いこなしていれば、人通りや車通りの多い場所にも愛犬を連れていくことができ、愛犬の行動範囲を広げることが可能です。
また、洋服と同じように色やデザインなどにこだわってみるのも楽しそうですよね。

毎日のお散歩やアウトドアはもちろんのこと、家の中でもリードを活用しましょう。犬との生活がより楽しいものになりますよ!