愛犬の耳から変なにおいがする!あわてて耳の中をのぞいてみたら、汚くてギョッとした――こんな経験をお持ちの飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
犬の耳の中を掃除しすぎるのはよくないですが、しなさすぎてもNGです。外耳炎などのトラブルで愛犬が苦しまないよう、定期的にチェックして正しくケアしてあげましょう。
この記事ではお家で出来る耳掃除のやり方と、嫌がるときの対処法について解説しています。ぜひ参考にしてください。
Contents
犬の耳掃除は必要?それともしなくていいの?
犬の耳は掃除したほうがいい――。
犬の耳はあまり掃除しないほうがいい――。
犬の耳掃除について調べると、上記のように相反する意見を見つけることがあります。結局どっちなの?と迷われると思いますが、正反対のように見えるこの二つの考え方。実は同じことを言っています。
『犬の耳は必要以上に掃除しなくていいが、正常な状態より汚れているなら掃除したほうがいい』これが正解ではないでしょうか。
なぜなら、正常な状態であれば犬の耳の中は自浄作用が働くので奥にある汚れを手前へと押し出せますが、なんらかのトラブルがある場合は汚れがたまる一方になるからです。
耳垢のもつ大切な役割
正常な状態の耳垢は、実は汚れではありません。耳の穴から鼓膜まで続く外耳道の保護という、大切な役割を担っています。耳の中の乾燥を防ぎつつ、細菌や真菌の感染から守ってくれているわけですね。
耳垢という言葉にはあまり良いイメージがありませんが、いわば天然のクリーム。耳垢を掃除しすぎると保護クリームが失われてしまうため、外耳道のバリア機能が低下することになってしまうのです。
耳垢の増加や変色は耳のトラブルのサイン
正常な状態の耳垢を取り除く必要はありませんが、耳の中がいつもよりにおう、あるいは耳の中が明らかに汚れていると感じたときは、耳掃除が必要です。
ただし、次のような場合は単なる耳の中の汚れではなく、耳のトラブルが原因かもしれません。
● 耳垢の色がいつもと違う(赤黒・黒・茶褐色・黄土色など)
● 耳の中を掻くことが多くなった
● 耳を触ろうとすると嫌がる
● 耳掃除をしてもすぐに汚くなる
● 頭を振る動作がやたらと多くなった
外耳炎・マラセチア性外耳炎・ミミダニ症・アレルギー性外耳炎・異物による炎症といった耳のトラブルが疑われます。なるべく早めに動物病院を受診して、適切な処置を受けたほうがよいでしょう。
犬の耳トラブルを防ぐチェックと耳掃除の頻度
愛犬を抱っこするたび、無意識に耳のにおいを嗅いでしまう飼い主さんもいらっしゃることでしょう。犬を飼っていない人には奇妙に思われるかもしれませんが、その行為、実は大正解です。
耳トラブルの原因となる細菌・真菌・ダニなどが耳の中で増殖していると、多くの場合は耳垢が臭うようになります。普段から愛犬の耳の中のにおいを嗅いでいると、この変化に敏感に気づけるわけですね。
耳のにおいをクンクン嗅ぐのはもちろんのこと、定期的に耳の中をのぞいて汚れ具合もチェックするようにしましょう。
耳の中のチェックと耳掃除の頻度は…
● 耳の中のチェック→週1回程度
● 耳掃除→月1回程度
耳の状態になにも問題がなければ、基本的にはシャンプーと同じタイミングでの耳掃除がおすすめです。全身をしっかり洗って被毛を乾かした後は、耳の中まできれいにしてあげましょう。
お家でできる犬の耳掃除のやり方
飼い主さんの手で愛犬の耳掃除をするやり方をご紹介します。
用意するもの
● イヤーローション(イヤークリーナー)
● 耳掃除シートまたはコットン
耳介(耳殻)をきれいにしたい
耳介(耳殻)というのは頭から突き出ている外耳のことをいいます。立ち耳の犬は何もしなくても耳介が見えますが、垂れ耳の犬は耳をめくらなければ見えない耳の内側のことです。
耳介の汚れが気になったときは、市販の耳掃除シートやイヤーローションを染み込ませたコットンで、優しく拭き取ってあげましょう。
ゴシゴシこするとデリケートな耳介を傷つけるおそれがあるためNGです。また、アルコールで拭き取ると常在菌が死滅して皮膚のバリア機能が低下してしまうため、必ずイヤーローションか水を使うようにしましょう。
外耳道をきれいにしたい
耳介は簡単に目視できますが、外耳道はのぞきこんでも奥の方はよく見えません。だからといって綿棒や耳かきを使うのはNG!かえって汚れを奥に押し込んでしまったり、外耳道に傷をつけることもあるからです。
犬の耳掃除をするときは、必ずイヤーローション(イヤークリーナー)を使うようにしましょう。
イヤーローションを使った耳掃除の手順
1. 耳の中をチェックして、耳垢の状態と炎症の有無を確認
2. 愛犬をリラックスさせつつ、体をしっかり保定
3. 犬の耳の中にイヤーローション(イヤークリーナー)を適量垂らし入れる
4. 頭を振らないようにそっと押さえながら耳の根元を指でつまみ、優しくもむようにして液をしっかりいきわたらせる
5. 手を放して頭をブルブルさせる
6. 頭を振らない場合は耳の穴に息を吹きかけてブルブルを促す
7. 何度か頭を振らせたら、耳掃除シートやコットンで耳介を優しく拭きあげる
イヤーローションで浮かせた耳の中の汚れは、頭を振ることでローションとともに外へ飛び出していきます。
耳の奥に残った水分が気になるかもしれませんが、タオルや綿棒でとろうとすると、かえって汚れを押し込むことに。イヤーローションの水分は、自然乾燥に任せてOKです。
愛犬が耳掃除を嫌がるときの対処法
耳掃除をしようとすると、かなり抵抗する犬もいます。なかには飼い主さんの手を噛もうとするほど嫌がるケースも…。
こういった場合、もしかしたら耳のトラブルで痛みを感じているのかもしれません。まずは動物病院で異常がないかを確認してもらい、耳に問題がないなら次の方法を試してみましょう。
● 大好物のオヤツをかじらせながら耳をいじることから始め、まずは耳をさわられることに慣らしていく
● 耳にさわられることに慣れてきたら、耳介の拭き取りに挑戦する
● 耳介にさわれるようになったら、イヤークリーナーを試してみる
大切なのは、飼い主さんがリラックスした気持ちで愛犬の耳掃除にトライすることです。
上手くいかなくて焦ったりイライラすると、犬はその気持ちを敏感に感じ取ってしまうことに…。それではいつまでたっても、耳掃除に慣れてくれません。
「耳掃除の時間は愛犬と飼い主が楽しく触れ合う時間」――この気持ちを忘れずに、少しずつ耳掃除に慣らしてあげましょう。
ただし、無理や深追いは禁物。どうしても上手くいかない場合は、動物病院やトリミングサロンで耳掃除してもらうのが一番です。「餅は餅屋」ということわざがあるように、あとは専門家に任せてしまいましょう。
犬の耳掃除はやりすぎ厳禁!こまめなチェックを心がけよう
犬の耳の中は、何も問題がなければ無理に掃除をする必要はありません。しかし、だからといって放置してしまうと、耳のトラブルを見逃してしまうこともあります。
耳掃除をすることも大切ですが、まずは日常的に耳の中のチェックをすることから始めましょう。愛犬を抱っこするたびに耳のにおいを嗅いだり、お散歩から帰ってきたら耳の中を確認するだけでも、耳のトラブルを未然に防ぐことにつながります。
また、耳掃除を始めると見えないところまで気になるものですが、やりすぎと深追いは厳禁。壊れ物を触る感覚で優しく耳掃除をしたら、耳の奥の汚れは自浄作用に任せることを徹底することが大切です。