日本で飼育されている犬のうち、大型犬の割合は10%に満たない少数派です。
ところがおもしろいことに、全国の犬好きを対象としたアンケートでは、飼ってみたい犬のサイズは大型犬と答えた割合が30%以上。憧れの犬種ランキングでは、大型犬が上位に並んでいるのです。
この記事では、大型犬を飼うことについて様々な面から考察しています。犬種の紹介はもちろん、大型犬を室内飼育するポイントにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
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大型犬は体重25kg以上!存在感抜群だからこそ安易に選べない
犬を飼いたいけれど、部屋が狭いから大型犬はムリ…。日本では、本当は大型犬を飼いたいのに、住環境の点からあきらめざるを得ない現状があるのは間違いありません。
また、小さな子どもがいる、家族に大型犬はダメだと反対されている等々、大型犬を迎えるにあたって二の足を踏んでしまう要因は様々にあるのでしょう。
大型犬といえば、一般的には体重25kg以上とされています。確かに25kg以上もあれば、それはもう人がもう一人いるようなもの。気軽に大型犬をお迎えできないのは、仕方がないかもしれませんね。
大型犬の飼い主に60代70代が多い理由は経済面と精神面のゆとり
ペット保険会社の調査によると、大型犬を飼っている年代は60代が一番多く、次いで70代以上という結果が出ています。
大型犬を飼育するのであれば、やはり庭付き一戸建てのようにそれなりの住環境が必要。総務省統計局によると年代別の持ち家世帯率は、20代/11%、30代/30%、40代/50%、50代/70%、60代以上で80%以上。なるほど!という感じがしますよね。
また、食費・医療費・ワクチン費用・予防薬費用はもちろんのこと、リードや首輪、ケージといった備品全般など、大型犬はすべてにおいて小型犬よりコストがかかります。
となると、子育てなどが終わって経済的にゆとりのある60代以上が大型犬を選びやすくなるのは、ある意味当たり前のことなのかもしれません。本当は大型犬を飼いたかった層が、ようやく夢をかなえているケースもあるはずです。
また、大型犬には子犬の頃からきちんとしたしつけやトレーニングが必要不可欠。そういう意味でも、犬としっかり向き合える時間がとりやすい60代以上は、大型犬を飼う下地が整っているといえそうですね。
大型犬サイズの人気犬種4選
この章では、2022年にジャパンケネルクラブで犬種別犬籍登録された頭数の多い順に、大型犬種をご紹介します。
ゴールデン・レトリーバー
原産国/イギリス
標準的な体重/30kg前後
いつも微笑んでいるような顔立ちと、美しい金色の被毛で人気の大型犬です。明るく遊び好きでまさに家庭犬にふさわしい犬種といえますが、性格的には意外なほど繊細なところも。
そのため、褒めると叱るを上手に織り交ぜながらトレーニングをすることを心がけておかないと、時には思った以上に傷ついて落ち込んでしまうことがあります。とはいえ、非常に賢く訓練性能抜群なことは間違いなく、これ以上はないと思えるほど良い犬に育つ犬種です。
ウェーブがかった美しい被毛はトリミングの必要はありませんが、ダブルコートのため抜け毛の多さは覚悟しておく必要があるでしょう。
ラブラドール・レトリーバー
原産国/イギリス
標準的な体重/30~35kg
盲導犬でお馴染みの大型犬。そのため大人しく扱いやすいと勘違いされやすいですが、ラブラドールはエネルギッシュに毛が生えているような犬種です。
そのため、子犬の頃からしっかりと基礎的な服従訓練を入れないと、成長とともにどんどん力が強くなり、やがては手に負えなくなってしまうことも…。
とはいえ、盲導犬や警察犬として活躍している犬が多いことからもわかるように、訓練性能はずば抜けています。しっかりトレーニングすれば理想的な家庭犬に成長するため、ここは飼い主の頑張りどころでしょう。
せっかくラブラドールと暮らすなら、才能を引き出してあげないともったいないですよ。
シベリアン・ハスキー
原産国/アメリカ(もとはシベリア北東部)
標準的な体重/25kg前後
神秘的なブルーアイでお馴染みですが、茶色のナチュラルアイの犬もたくさんいます。狼に似た風貌のため怖がられることもありますが、この犬は基本的にとてもフレンドリー。集団でソリを引くことから、とても仲間意識の高い犬種です。
ハスキーはとにかく寒さに強く、-20度以下でも屋外で寝られるほど。反面、暑さにはとても弱いため、一年を通した温度管理が欠かせません。冬こそがハスキーにとって最適な季節のため、暖房で暑すぎないように気をつける必要があります。
また、寒さに強い強固なダブルコートはその分抜け毛も激しいため、しっかりブラッシングをしないとボソボソの犬になりますよ!
バーニーズ・マウンテン・ドッグ
原産国/スイス
標準的な体重/35~55kg
ガッチリした体にトライカラーの被毛と垂れ耳が可愛らしい大型犬です。とにかくエネルギーの塊のような犬で、愛情深く遊び好きな性格は家庭犬として申し分ありません。
ただし、ほとんどの犬種はどんなに元気いっぱいでも2歳を過ぎる頃にはそれなりに落ち着くものですが、バーニーズに限ってはこの法則があてはまらないことも。4歳を過ぎても子犬のような遊び方をする犬が、家の中を破壊してしまうことも珍しくありません。
そのため、バーニーズに最適なのは愛犬が何かを壊しても、それを楽しめる飼い主です。また、この犬種は平均寿命があまり長いとは言えません。しかし、それでもバーニーズと暮らしたいと思えるほど魅力的な犬種です。
大型犬と安全に暮らすお部屋作りのポイント
大型犬とされる犬の体重は25kg以上です。25kgでも充分大きいですが、これは最低ライン。小学3年生(8歳)の平均体重が男女とも25kg前後であることを考えると、その存在感は推して知るべしですよね。
おまけに、大型犬達は揃いもそろって大の大人を吹っ飛ばせるほど力が強く、さらには身体能力抜群です。そのせいで、ちょっとした動作が破壊につながってしまうことも…。
単にモノが壊れただけならいいですが、それが愛犬や飼い主家族のケガにつながるのはなんとしても避けたいところですよね。
大型犬を室内飼育するなら部屋の中にはこんな工夫を!
● 床の材質は滑りにくいものにする
● ガラス製のローテーブルや大型の花瓶など、割れる材質のものは置かない
● 犬の動線とその近くには倒れやすい家具や電化製品は置かない
● 電化製品のコード類は犬が見えないように隠す(感電防止)
● 掃き出し窓には犬の目線の高さにステッカーなどを貼る(激突防止)
● 階段の上り口や降り口にはゲートを設置する(転落防止)
また、ゴミ箱や食品庫をイタズラされないようにしっかり管理することも重要です。大型犬は口が大きく食道が太い分、まさかというものを誤食・誤飲してしまいますよ!
大型犬との生活にハプニングはつきもの!でもそれが楽しい
大型犬は成長すると、家の中ではゆったり過ごすようになります。しかし、子犬期~2歳ぐらいまでは遊びたさが先走ってしまうもの。大喜びでビュンビュン振ったシッポがローテーブルに置いてあった電気スタンドや花瓶を吹っ飛ばしてしまうこともあります。
また、家具をかじられたり完膚なきまでに靴を破壊されたりと、イタズラのスケールは体格に比例することを覚悟しておくべきでしょう。
しかし、部屋の入口で寝ている大型犬を「ジャマだよ」と言いながらまたぐような瞬間こそが、大型犬がすぐ近くにいる生活の楽しさそのものかもしれません。