犬といえば従順・忠義的・賢いなどのイメージがありますよね。しかし、私たち人間と同様に、犬の性格も個々によって違います。
とはいえ、犬種の多くはいろいろな目的で作り上げられてきた歴史から、ある程度は性格的な傾向が見られるのも事実です。
そこで、この記事では一般的に穏やかな犬が多いとされている犬種についてご紹介します。初めて犬を飼うかたはもちろん、先住犬のいるお家で後輩犬を迎える際にもぜひ参考にしてください。
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穏やかな性格とはどんな犬のこと?
「穏やか」という言葉を辞書で調べると、「静かで落ち着いている」「のどかでやすらか」「性格や物腰が柔らかい」などの言葉が並んでいます。
これを犬の性質に当てはめるとしたら、「神経質や怖がりではない」「攻撃的ではない」「他者に対し友好的」と言い換えればわかりやすいですよね。
こういった穏やかな性質の犬はどんな家庭にも馴染みやすいため、「飼いやすい犬」と表現してもよさそうです。
● 初めて犬を飼う
● 小さな子どもやお年寄りがいる
● 大人しい性質、あるいは高齢の先住犬がいる
上記のようなお家で新たに犬をお迎えするとしたら、穏やかな性格の犬種を選んだほうが馴染みやすいはずです。もちろん犬が生き物である以上、個々によって違いはあるでしょう。穏やかな性格とされている犬種の中にも、神経質なタイプはいます。
しかし、性質面を理解しないまま犬種を選んでしまうより、スムーズにお家に溶け込む確率が上がるのは間違いなさそうです。
穏やかな性格の大型犬
体格は大きくても、穏やかな性格で飼いやすい大型犬種をご紹介します。
ゴールデン・レトリーバー
イギリス原産の鳥猟犬。日本では大型犬人気ナンバーワンの犬種です。いつも微笑んでいるような柔らかな顔つきのこの犬は、温和で我慢強く犬のIQテストでは4位と賢さも持ち合わせています。
小さな子どもや他の動物と仲良くできますが、大型犬は想像以上に力が強く、子犬期からしっかり服従訓練を徹底させることが大切です。
室内飼育のポイント
股関節形成不全の多発犬種のため、滑りやすい床材は厳禁!また、抜け毛がかなり多いので掃除のしやすさを考慮した家具や家電の配置が欠かせません。
ラブラドール・レトリーバー
イギリス原産の鳥猟犬。盲導犬でお馴染みのこの犬種は、生まれながらに大人しくて穏やかなわけではありません。むしろ元気の塊のような犬種ですが、子犬期からしっかり訓練することで我慢強く穏やかな家庭犬になるのです。
イエロー・ブラック・チョコレートと被毛には3色ありますが、イエローが最も性格的に落ち着いているといわれています。
室内飼育のポイント
子犬期は元気いっぱいでとんだりはねたりするため、壊されると困るような家具・置物類は落ち着きが出るまで撤去したほうがよいでしょう。
セント・バーナード
スイス原産の使役犬。超大型犬の中でもヘビー級の犬種のため、本当に穏やかな性格なの!?と思われるかもしれません。しかし、大きくて心優しい穏やかな気質の持ち主です。
ただし、成犬時の体重は80kg前後と成人男性を軽く超えてしまうことも珍しくなく、ちょっとした動作で人を吹っ飛ばしたり家具等を壊してしまうことも。穏やかな性格の犬種ではあるものの、飼い主には体力的な面も含めてしっかり制御することが求められます。
室内飼育のポイント
この犬種はヨダレがかなり多く、こまめな床の拭き掃除が必要。ただしフローリングは滑りやすく危険なため、クッションフロアのように弾力性のある材質がおすすめです。
穏やかな性格の中型犬
飼いやすい性格で小さ過ぎず、大き過ぎずの中型犬種をご紹介します。
フレンチブルドッグ
フランス原産の愛玩犬。近年の鼻ぺちゃぶさかわブームでは一番人気の犬種です。ムチムチの体と大きな耳、そしてつぶらな瞳はどれだけ見ていてもあきません。
基本的にあまりバタバタしない穏やかな性格の持ち主ですが、何かのきっかけで突然スイッチが入ったように興奮することもあります。とてもフレンドリーな性格ですが、繊細な部分があるので叱り方には注意が必要です。
室内飼育のポイント
この犬種は皮膚が敏感な子が多いため、アレルギーを防ぐためにも敷物やソファーの素材などは、できるだけ天然素材を選ぶことをおすすめします。
バセット・ハウンド
イギリス原産の嗅覚ハウンド。とても物静かで穏やかな性格の犬です。ただし従順かといえばそうではなく、どちらかといえばマイペースを貫くタイプ。嗅覚ハウンドなだけあって気になるニオイをひたすら追い続けてしまうところがあります。
ギネスに認定されるほど長い垂れ耳と、胴長短足の個性的なフォルムの持ち主。好きな人はとりこになってしまう、見た目も性格も味わいのある犬種です。
室内飼育のポイント
嗅覚に優れた犬種なので、わずかな食べ物のニオイを見逃しません。ゴミ箱や食品庫は犬がイタズラできないようにカギをかけたり、密閉式のフタ付きがおすすめです。
ブルドッグ
イギリス原産の使役犬。闘犬として使われた歴史を持つことから、かなりコワモテの風貌とガッシリした体型で凶暴と勘違いされがちな犬種です。しかし見た目に反して性格は意外なまでに穏やか。小さな子どもや他の動物とも仲良くできる性質の持ち主です。
ただし、かなりのマイペースなタイプのため、歩きたくないとなったらテコでも動きません。それが続くと肥満になりやすいため、しっかり歩かせる気合が飼い主に求められます。
室内飼育のポイント
鼻がつぶれた短頭犬種のため、呼吸で体温を下げるのが苦手です。そのため、気温が高くなる前からエアコンで室温を調節するなど、早めの熱中症対策をおすすめします。
穏やかな性格の小型犬
小さなお子さんがいるお家や、高齢の方でも飼いやすい小型犬種をご紹介します。
シーズー
中国原産の愛玩犬。豊かなロングコートが魅力的な犬種ですが、近年は被毛全体を短くカットし、スッキリ仕上げるスタイルが主流になっています。
とても愛情深く穏やかな性質の持ち主で、小さなお子さんがいるお家や高齢の方にも飼いやすい犬種。飼い主の言うことをすべて理解しているとしか思えない行動がしばしばみられることから、長く一緒に暮らしているとどんどん人間臭くなる犬と評されることもあります。
室内飼育のポイント
シーズーの瞳は眼球が大きく、少し外に飛び出しています。そのため、顔面をぶつけたり眼球に物が当たらないよう、できるだけ低い位置に物を置くのはやめたほうがよいでしょう。
狆
日本原産の愛玩犬。シルキーなロングコートが美しく、江戸時代には抱き犬として可愛がられた犬種です。
この犬種の性格は穏やかで物静か。一見すると小さな子どもがいる家庭に向いていそうですが、実際のところ狆は幼児をケガさせるより、幼児にケガをさせられることが多い犬種。そのため、大人だけの静かな家庭で飼われるのが理想といえるでしょう。
室内飼育のポイント
狆は先天的に股関節の浅い犬が多いため、滑ったり転倒したりすることが大きなケガにつながります。できればカーペット敷きなどの、足腰に優しい環境を整えてあげましょう。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
イギリス原産の愛玩犬。マズルの短い短頭犬種ですが、鼻がつぶれすぎていない愛らしい顔立ちをしています。性格はとにかく穏やかでフレンドリー。初対面の人にも人見知りすることは少なく、小さな子どもや他の動物とも仲良くできるタイプです。
しかしあまりにも警戒心が薄いため、番犬としてはほとんど役に立ちません。犬に番犬をさせる予定のない、穏やかな家庭で楽しく暮らせる性質の持ち主です。
室内飼育のポイント
キャバリアは僧帽弁閉鎖不全症にかかりやすい犬種です。そのため、体調のちょっとした変化を見逃さないためにも、ケージは家族が集まる部屋の静かな場所に設置しましょう。
子犬はみんなやんちゃ!しっかりしつけてこそ穏やかな犬になる
どんなに穏やかな性格の犬種も、子犬の頃はやんちゃ過ぎて飼い主さんを慌てさせるものです。それは大型犬だろうと小型犬だろうと変わりません。
しっかり基礎的なしつけやトレーニングをしてこそ、温和な性質を持つ犬は穏やな性格の犬になれるのです。