保護犬と出会える場所やサービスが徐々に増えてきたことにより、保護犬は以前よりも身近な存在になっています。しかし保護犬の存在を知っていても、実際に引き取るのは難しいイメージがあるかもしれません。たしかにペットショップやブリーダーで犬を迎え入れるよりも、保護犬の引き取りは馴染みがない方が多いでしょう。

本記事では、保護犬の引き取り方法や手順、条件、費用などについて紹介します。
保護犬を迎え入れるために必要なものや、保護犬が過ごしやすいお部屋づくりも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

保護犬の引き取り方法は?

保護犬の引き取り方法として以下の4つを紹介します。

保健所

保健所(動物愛護センター)は、自治体が管理する動物保護施設です。ここでは、飼い主のいない動物を一定期間保護し、里親募集も行っています。

譲渡会

譲渡会は、動物保護団体が開催するイベントです。実際に犬と触れ合えるので、相性を確認できるでしょう。譲渡前に講習を実施するなど、犬を飼うのが初めての人にも優しい取り組みを行っています。

里親募集サイト

里親募集サイトは、NPO法人やボランティアなどが運営しています。犬を飼育している人と里親になりたい人をマッチングし、直接犬に関する情報をやり取りできます。

保護犬カフェ

保護犬カフェは、ボランティアや保護団体が運営する、保護犬との出会いの場。里親を希望する人だけでなく犬好きな人も、保護犬と気軽に触れ合うことができます。

保護犬を引き取る手順は?

保護犬を引き取る手順の一例を紹介します。
各自治体や保護団体において手順が異なるため、実際に確認するようにしてください。

保護犬の引き取り手順 ポイント
保健所 (動物愛護センター) 1.保健所で受付
2.講習を受ける
3.犬と触れ合う
4.譲渡の申請
家庭訪問やトライアルなどがある
希望者が多いと抽選になることもある
譲渡会 1.譲渡会の予約
2.譲渡会で受付
3.犬と触れ合う
4.講習を受ける
5.譲渡の申請
審査やトライアルなどがある
里親募集サイト 1.サイトに登録
2.応募
3.飼育者と直接連絡
4.譲渡の申請
家庭訪問やトライアルなどがある
保護犬カフェ 1.犬と触れ合う
2.譲渡の申請
3.アンケート提出
4.面談
5.トライアル
審査やトライアルなどがある

保護犬を引き取ることができる条件とは?

保護犬は誰でも引き取れるわけではありません。譲渡する側からすると、保護犬を安心できる里親に預けたいという思いがあります。つまり一度行き場を失った保護犬に、再度同じ思いをさせないための条件なのです。

保護犬の引き取り条件は、以下のようなものがあります。

経済的に自立していること
身分証明書の提示
年齢制限(20歳以上60歳未満など)
犬を飼うことができる住居に住んでいること
家族全員の同意を得ていること
室内飼育・終生飼育を約束すること
飼育できなくなったときの預け先があること
適正な医療を受けさせること
不妊手術・去勢手術を受けさせること

保護犬の引き取り費用はいくら?

保護犬を引き取るにあたって、費用がかかることがあります。
保健所であれば、無料もしくは1万円程度かかります。保護団体の場合は、2~5万円程度と考えておきましょう。

保健所では登録料など必要最低限の事務手数料だけのことが多く、安価での引き取りが可能です。ただし、ワクチン接種や避妊・去勢手術は、引き取ったあとにご自身で受けさせる必要があるので注意しましょう。
保護団体では、これらの予防を済ませていることも多いので、ある程度費用がかかります。

引き取り先により費用は異なるため、譲渡を決める前にしっかりと確認しておくことが大切です。

保護犬を引き取る前の注意点

保護犬を引き取る前の注意点を説明します。
以下の3つのポイントに注意しましょう。

・保護犬を飼育できるか改めて考える
・信用できる引き取り先を選ぶ
・保護犬の性格やクセなどをしっかりと把握する

保護犬を飼育できるか改めて考える

保護犬を引き取るとき前に、本当に犬を飼育できる状況なのか再度考えましょう。犬にかかる費用は引き取り費用だけではなく、飼育費用や医療費がかかります。また環境やライフスタイルが、犬を飼育するのに向いているのかもよく検討してください。

信用できる引き取り先を選ぶ

信用できる引き取り先を選ぶことも重要です。残念ながら、保護犬を譲渡する側に悪質な個人や団体が紛れていることも事実です。少しでも疑問に思ったり納得できなかったりすれば断る勇気も必要です。

保護犬の性格やクセなどをしっかりと把握する

迎え入れる保護犬を見た目だけで選ぶのはおすすめできません。当然ながら保護犬にもそれぞれの性格やクセなど個性があります。どのような環境で暮らしてきたのか、苦手なことはあるかといったことも事前に確認してください。飼い始めてから、想像と違うなど後悔することのないようにしましょう。

保護犬の引き取りまでに用意するもの

保護犬を飼育するために必要な物を紹介します。
犬を施設から連れて帰るときに、キャリーバッグがあると安心です。

保護犬をお迎えする前に、以下のものを用意しておきましょう。

首輪、リードなどお散歩に必要なもの
キャリーバッグなど移動に必要なもの
ベッド、ケージ、ペットシーツなどお部屋に必要なもの
食器、フードなど食事に関するもの
おもちゃなど遊びに使えるもの

保護犬が過ごしやすいお部屋づくりとは?

保護犬を家に迎え入れたら、まずは安心させてあげましょう。新しい環境に慣れるまで、時間がかかることもあるので、焦らず対応することが大切です。

ケージやクレートを置いておけば、緊張している犬の避難場所になります。滑りやすい床は犬にとって歩きにくいため、マットやカーペットを敷いておきましょう。キッチンや階段は自由に入れないようにゲートを設置しておくと安心です。

植物や食品、小物など犬が口にする可能性があるものは、安全のために移動するか、しまっておきましょう。

Q&A

Q1.小型犬の子犬を引き取ることはできますか?

保健所や保護犬カフェなどでは、成犬の里親募集が多い傾向があります。
小型犬の子犬を希望する場合は、譲渡会に参加したり、里親募集サイトで探したりするとよいでしょう。

Q2.ペットショップで売れ残った犬の里親になれますか?

ペットショップで売れ残った犬の里親募集をしているところもあります。
ペットショップがそのまま譲渡活動をしているケースや、動物保護団体などと連携し譲渡会を開くこともあるようです。

Q3.保健所から保護犬を引き取るのは無料ですか?

保健所から犬を引き取る費用は、無料~1万円程度といわれています。
安価な理由は、犬の登録料など基本的な事務手数料だけのことが多いからです。その場合、ワクチンや避妊・去勢手術などは自分で受けさせる必要があると考えておきましょう。

Q4.保護犬を引き取れるのは何歳までですか?

保護犬を引き取るには年齢制限が定められている場合があります。
20歳以上60歳未満に設定する施設が多いですが、それ以上の年齢でも保証人がいるなどの理由で譲渡を許可することもあるようです。

Q5.保護犬を引き取れなかったらどうなるのですか?

保護犬は引き取り先が見つかるまで、一定期間は保健所で生活できます。
しかし引き取り先が見つからない場合は、残念ながら殺処分されてしまいます。

まとめ

保護犬の引き取りはどうやってするの?手順・条件・費用などを紹介しました。
保健所をはじめ、譲渡会や里親募集サイト、保護犬カフェなど、今はさまざまな形で保護犬と出会えます。保護犬にも個性があるので、実際に足を運んで見たり触れ合ったりするとよいでしょう。手順や条件、費用などは施設により異なりますので、本記事を参考にしつつ、事前に確認するようにしてください。一頭でも多くの保護犬が、素敵な里親と出会えることを願っています。