首輪は犬と暮らすうえでの必需品です。散歩のときにリードとつなげるためのもの、というイメージを持たれているかたもいらっしゃると思いますが、それは首輪が持つ役割の一部でしかありません。

犬が首輪をすることにはいくつもの意味があり、中でも重要なのは愛犬の「身分証」としての役割です。

このコラムでは、首輪をつけたままにしておくメリットなどを解説しています。つけっぱなしでも快適に過ごせるコツも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

犬の首輪が持つ3つの大切な役割

犬の首輪には「愛犬の安全を守る」という重要な役割があります。そして愛犬の安全を守るということは、同時に飼い主とその家族だけではなく、周囲の人や動物を守ることでもあるのです。

犬の首輪の役割:外出時の安全を確保する

散歩などの外出時に犬の首輪とリードをつなぐことは、動物愛護法に基づいて規制されている――。

もちろんそういった背景はありますが、屋外で犬の首輪とリードをつなぐ真の理由は、愛犬を危険から守ることにあります。

万が一にも犬が自動車や自転車などとぶつかってしまったら、ケガだけでは済まないかもしれません。また、きちんとつながれていない犬は、通りすがりの人や犬に迷惑をかけてしまうことがあります。

愛犬が被害者にも加害者にもならないよう、飼い主の責任としてきちんと首輪とリードをつながなければならないのです。

犬の首輪の役割:飼い犬であることが一目でわかる

犬の首輪の大切な役割は、ぱっと見ただけでその犬が飼い犬だとわかることです。

窓や玄関が開いた隙に犬がふらりと外に出てしまったり、散歩中にリードが外れたとたんに走り出してしまうことってありますよね。

そんなとき、愛犬が迷子になってしまったとしても、首輪をしていれば野良犬ではなく飼い犬であることが一目瞭然です。

さらには首輪に迷子札や鑑札がついていれば、保護されたと同時に身元が判明し、速やかに飼い主さんのもとへ帰ることができます。

「うちの子は勝手に外に出ないから…」、という油断は禁物。なぜなら、雷や花火などの突発的な音にびっくりした犬はパニックに陥りやすく、飼い主さんが予想もしなかった行動に出ても不思議ではないからです。

犬の首輪の役割:想定外の犬の行動を制止する

普段はとても聞き分けの良い犬だろうと、突然飼い主さんが想定していなかった行動に出ることは珍しくありません。

そんなとき、リードがつけられていなくても首輪さえしていれば、とっさに首輪をつかんで犬の行動を止めることができます。

散歩中にリードが外れてしまったときも、首輪がついているのといないのとでは、捕まえる難易度が大きく変わることになるでしょう。首輪なしでは犬の体のどこをつかめばよいかわからず、思わず被毛やシッポをつかんで犬に噛まれてしまうことも…。

犬の行動をコントロールするうえで、首輪が果たす役割は意外なほどに大きいのです。

室内にいるときも首輪をつけっぱなしにしておくメリット

「首輪をしていると窮屈そうだから、せめて室内では外してあげたい」と考える方は少なくありません。また、「散歩のときはハーネスを装着するので、首輪の必要性を感じない」という飼い主さんもいます。

たしかに首輪をしていないほうが、犬は楽に過ごせるのかもしれません。しかし、家の中にいるときも首輪をつけっぱなしにしておくことには、大きなメリットがあります。

災害など緊急時への備え

地震、洪水、火災といった災害はいつ起こるかわかりません。あわてて避難しようとした際に犬に首輪がついていないと、パニックで暴れたり逃げたりしようとする愛犬をなかなか捕まえられないことがあります。

首輪がついていればリードを装着するだけで済みますし、万が一リードがかからず犬が逃げ出してしまったとしても、避難後に探しやすくなるのは間違いありません。

仮にマイクロチップ装着済みだったとしても、機械でナンバーを読み取るまでは「飼い犬なのか」「どこの誰の犬なのか」は不明なまま。だからこそ、飼い主さんのもとに帰れる確率を高めるには、首輪はとても有効なツールなのです。

災害はいつやってくるかわからず、決して他人事ではないことを私たちはすでに知っていますよね。だからこそ、万が一に備えて家にいるときにも、愛犬に首輪をつけておくことが大切です。

来客や小さな子どもへの配慮

家の中でも首輪をつけていると、来客があるときにも素早く対応することができます。

たとえば宅配の配達員が来たときなどは、ケージに入れるほどではないですよね。そんなときはさっと首輪にリードをつけてつないでおけば、犬が苦手な配達員さんも安心して荷物の受け渡しができるはずです。

また、来客の中に小さな子どもがいるような場合も、犬に首輪をつけておくと安心です。基本的には人懐っこい犬だったとしても、小さな子どもの大人とは違う動きに過剰に反応してしまうことは珍しくありません。

万が一犬が不穏な動きをみせたとしても、首輪があるだけで行動をコントロールしやすくなります。

リードフックがあると簡単に犬をつなげる

玄関やリビングなどにリードフックを取り付けておくと、必要なときにサッと犬をつなぐことができて便利です。

来客時はもちろん、ケージなどに隔離しなくても同じ部屋にいられるので、多頭飼育などのトラブル防止にも役立ちます。

愛犬が首輪をつけっぱなしにしても快適に過ごせるコツ

首輪をつけておくことにメリットがあるとわかっても、つけっぱなしにすることのデメリットが気になりますよね。

<犬の首輪をつけたままにすることのデメリット>
● 毛切れや擦り傷
● 皮膚のかぶれ
● 首輪に足が引っかかる不慮の事故
● 首輪のニオイ、汚れなど衛生面の問題

こういったデメリットを解消し、室内でも快適に首輪をつける方法には次のようなものがあります。

散歩用と室内用の首輪を使い分ける

散歩のときは革製やナイロン製などの丈夫な首輪を使い、家の中ではコットンやフェルトなどの肌当たりの良い材質の首輪につけかえると、犬の首の負担をかなり軽減することができます。

柔らかくて伸縮性のある首輪は息苦しくなりにくく、眠るときにもストレスになりません。小型犬の場合は首を痛めないように、布製などの軽量タイプの首輪がおすすめです。

首輪に直接連絡先が書けるタイプを選ぶ

万が一のことを考えて、首輪には必ず迷子札や鑑札をつけておきたいものです。しかし、24時間つけっぱなしとなると、寝るときなどにジャマになりそうで心配ですよね。

そんなときは、首輪に直接連絡先が書けるタイプの首輪を選びましょう。ぶら下がるものがない分、犬のストレスを軽減することができます。

洗える材質の首輪を選ぶ

犬をいくらシャンプーしても、首輪が汚れていたら台無しです。首輪のニオイや汚れが気になるときは、丸洗いできるタイプの素材を選びましょう。

ナイロンなどにアレルギーがあり、どうしても革製を選ぶ必要がある場合もあります。
その場合は、洗ったあとにしっかり水気をとってからドライヤーで乾かしてからお日様にあてると、かなり雑菌の繁殖を減らすことができます。

ハーネス派の飼い主さんにも首輪の必要性を知ってほしい!

犬の首に負担をかけたくないという理由で、散歩のときにハーネスを使っている飼い主さんもいらっしゃることでしょう。

首の細い犬種や老犬に首輪をつけたくないという気持ちは、充分に理解できるものです。しかし、万が一のことを考えると、やはり首輪はつけたほうが安心ではないでしょうか。

ひもタイプの首輪など、超小型犬の首にも負担になりにくい軽量タイプであれば、犬の首に負担をかけることはほとんどありません。

むしろ軽量タイプにはおしゃれなデザインやカラフルなものが多いので、おしゃれなネックレス感覚でハーネスと併用してみてはいかがでしょうか。