人間と同じように、犬にも持って生まれた性格があります。おおらかで大抵のことには動じない犬もいれば、ちょっとしたことにも敏感に反応してしまう神経質な性格の犬も…。
犬の性格は千差万別ですが、中でも面白くて手ごわいのは繊細な性格の犬かもしれません。この記事では、ただの怖がりや神経質とは一味違う、繊細な性格の犬について深掘りしてみました。
繊細な性格の犬が多いとされている犬種も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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繊細な性格の犬とはどのような性質の持ち主?
「繊細」という言葉を辞書で紐解くと、「感情などがこまやか」「デリケート」とありました。しかし、これをそのまま犬の性格として語ろうにも、なんだかちょっとピンとこないような…。
そこで、犬の性格にあてはめてみるとしたら「飼い主とのコミュニケーションに敏感」「環境の変化や刺激によく気が付く」といったように、良い意味で感覚の鋭さをクローズアップしたほうがわかりやすそうです。
もちろん、繊細な性格の犬が持つ「怖がり」「臆病」「神経質」などのネガティブな要素を無視することはできません。しかし、良い意味での繊細さ――いわゆる感受性の高さに注目することが、繊細な性格の犬の性質をより深く理解することにつながるはずです。
繊細な性格の犬の行動とは?
繊細な性格の犬が見せる行動や特徴には、次のようなものがあります。
環境の変化にすぐに気が付く
繊細な性格の犬は、聞き慣れない音がする、家の中に見慣れないものがあるといったような、周囲の状況のちょっとした変化によく気が付きます。
神経質、臆病などネガティブに捉えられやすい性質ではありますが、変化に気づける聡さは悪いものではないはずです。
ちょっとしたことで不安になることがある
繊細な性格の犬は、いつもとは違う状況を基本的にはあまり好みません。そのため、環境の変化に対して飼い主からの適切なフォローが足りないと、ちょっとしたことにも不安を感じてしまうことがあります。
飼い主の精神状態を敏感に察知する
繊細な性格の犬は飼い主のことをよく見ています。そのため、飼い主が楽しい、嬉しいなどの良い精神状態にある時はもちろんのこと、悲しんだり怒ったりというネガティブな精神状態も敏感に感じ取ってしまうことでしょう。
しかし、だからこそ繊細な性格の犬の飼い主は、愛犬との強い絆を感じることができるはずです。
知らない人や動物に対して簡単には警戒を解こうとしない
繊細な性格の犬は、いつもとは違うものを簡単には受け入れない傾向にあります。そのため、見知らぬ人や初めて会う犬に対し、無条件で友好的な態度をとることはあまりありません。
ただし、飼い主のことをよく見ているため、飼い主がどのような態度をとるかにより、相手を受け入れるか否かを決めるところがあるといえるでしょう。
飼い主に褒められることが至上の喜び
繊細な性格の犬は、飼い主の感情の動きに敏感です。そのため、飼い主が喜んでくれることを積極的にすることで、褒められたがる傾向にあります。
この性質を上手に利用すれば、しつけやトレーニングはスムーズに進むはずです。繊細な性格の犬は物覚えが良いといわれるのは、こうした性質によるところが大きいと考えられます。
繊細な性格の犬を理想的な家庭犬に育てるコツとは?
繊細な性格の犬は、物覚えの良さや飼い主の感情の機微に聡いところなど、多くのポテンシャルを秘めています。しかしその反面、繊細であるがゆえに敏感になり過ぎてしまい、臆病さや不安を増長させた結果、飼い主を困らせる行動に出てしまうことも…。
繊細な性格を持つ愛犬の良い性質を伸ばすには、飼い主さんのフォローが欠かせません。次のようなことに気をつけながら、愛犬の長所をどんどん伸ばしてあげましょう。
飼い主の穏やかな態度と褒めて伸ばすが基本のしつけ
繊細な性格の犬にしつけやトレーニングを行う場合、思い通りにいかなかったとしても、がっかりしたりイライラするのはNG。なぜなら、繊細な性格の犬はそのことを敏感に察知して、必要以上に委縮してしまうことがあるからです。
愛犬に対して常に穏やかな態度で接し、感情的にならないよう常に心がけてください。また、しつけの基本は褒めて伸ばすことです。繊細な性格の愛犬を上手に乗せながら、楽しくトレーニングすることが成功の秘訣といえるでしょう
適切な社会化で最低限の社交力を身につけさせる
繊細な性格の犬がきちんと社会化をしないまま成長すると、神経質なところや臆病さが前面に出やすくなります。そのため、子犬期からしっかり外界を経験させることが大切です。
また、愛犬の負担にならない程度に、他所の犬や人と触れ合う機会を作るようにしましょう。愛想の良い犬とまではいかなくても、ドッグラン等で穏やかに過ごすことができる最低限の社交力が身につけば上出来です。
愛犬のボディランゲージを正しく読み取る
怖がっている、不安を感じているなど、愛犬が発しているネガティブなボディランゲージに気づいたら、嫌がっている対象から遠ざけるなどして落ち着きを取り戻せるようにフォローしてあげましょう。
繊細な性格の愛犬が飼い主の感情を敏感に察知するように、愛犬の感情にいちはやく気づいて対処をすることが大切です。
繊細な性格を持つといわれている犬種3選
この章では、繊細な性格の犬が多いとされている犬種をご紹介します。
ボーダー・コリー
犬の知能テストでは第一位、加えて身体能力と洞察力に優れたこの犬種は、飼い主の動向を常に意識しています。その性質が良い方向にまわれば最上の家庭犬となりますが、雑な育て方をしてしまうと手の付けられない暴君に成長することも…。
ボーダー・コリーが持つポテンシャルを最大限に引き出すには、飼い主が「いつも見られている」ことをしっかり自覚することが大切です。
シェットランド・シープドッグ(シェルティー)
優雅な見た目とほどよいサイズ感で人気のあるこの犬種は、もとは実直な牧羊犬です。そのため、飼い主の行動をしっかり観察して行動する習性が遺伝子に刻まれていることを忘れるべきではありません。
基本的には穏やかな性質の持ち主ですが、羊を誘導していた頃の名残で噛み癖がでることもあります。しかし必要以上に叱りつけると、恐怖心ばかりが先だって委縮した性格になってしまうことも。だからこそ、子犬期の甘噛みからしっかり矯正しておくことが大切です。
ミニチュア・シュナウザー
好奇心旺盛で遊び好きなこの犬は、常に家族の真ん中にいたがる甘えん坊で寂しがり屋な性質の持ち主です。調子に乗るとイタズラがエスカレートしがちですが、そのことを強く叱りつけると予想以上にいじけてしまうことも…。
飼い主の動向を気にし過ぎると分離不安気味になることがあるため、充分にかまいつつも適度に留守番させるような飼い方を心がけることが大切です。
繊細な性格の犬と穏やかに暮らすお部屋づくりとは?
繊細な性格の犬は、常に飼い主の気配を感じていたい寂しがり屋です。と同時にいろいろな変化を必要以上に敏感に捉えてしまうところがあるため、周囲の状況にとらわれずにリラックスできる空間を必要としています。
だからこそ、次の二つの視点を考えたうえで、愛犬と過ごすお部屋づくりをすることが大切です。
ケージや寝床は疎外感を感じさせないように家族が集まる部屋に設置する。
飼い主家族の気配を感じつつも、ひとりになれる逃げ場を用意しておく。
家具の配置を変えたりカラーボックスを置くなどし、愛犬のリラックススペースを作ってあげましょう。犬は狭い場所の方が落ち着くため、ちょっとしたスペースで大丈夫です。