犬のオムツが気になる――ということは、愛犬の排泄になんらかの問題がある、あるいは不安があるからではないでしょうか。

犬のオムツをネガティブに捉える方もいらっしゃいますが、オムツは飼い主と犬をストレスから解放する「快適なドッグライフのお助けアイテム」です。

このコラムではトイレトレーニングが完璧ではない子犬のことではなく、老犬や成犬のオムツ問題について考えていきたいと思います。愛犬の排泄問題に悩む飼い主さんは、ぜひご一読ください。

愛犬のオムツを考えるきっかけとは

愛犬のオムツについて考えるきっかけとは、次のようなものではないでしょうか。

● 加齢の影響で排便のコントロールがきかなくなった。
● 年を取るにつれて足腰が弱くなり、起き上がるのが辛そうに見える。
● 病気やホルモンの影響で尿漏れするようになった。
● トイレトレーニングがされていない犬を家族に迎えた。
● 外出時の粗相やマーキングなど、不意打ちの排泄が心配。

かつてはトイレのしつけが完璧だった犬も、なんらかの理由でお漏らしをするようになることはあるでしょう。

トイレのしつけがされていない保護犬を里親として迎えるような場合も、トイレの問題を無視するわけにはいきません。

また、家の中ではトイレが完璧な犬にも、オムツを考えるきっかけはあるはずです。「今だけは排泄しないで!」という場所とタイミングに限って愛犬がオシッコやウンチをしてしまうのは、犬と暮らすあるあるですよね。

成犬や老犬にオムツを使うことのメリット

飼い主さんにとって犬にオムツをすることの最大のメリットは、家の中を排泄物で汚さずに済むことです。

ヒート中のメス犬にしても、経血が床や家具などに付着するのを防げるため、家の中を清潔に保つための強力アイテムといっても過言ではありません。

子犬とは呼べない年齢の犬にオムツをすることは、「あの犬はお漏らしをする」とレッテルを貼られているようで、ネガティブに捉えてしまう方もいることでしょう。

しかし、オムツで犬の排泄問題を解決することには、部屋を汚さないこと以外にも様々なメリットがあります。

足腰が弱っている犬にオムツをすることのメリット

なんらかの原因で足腰が弱っている犬にオムツをすることは、飼い主さんと犬双方のストレスを軽減してくれるメリットがあります。

犬も年を取ると、足腰が弱くなるものです。また、年齢的には若くても病気などが原因で体の自由がきかなくなることもあるでしょう。

自力でトイレに行こうとしても以前のように素早く起き上がれず、結果としてお漏らしをしてしまうことも…。

こういったことが続くと飼い主さんは粗相の後始末に追われ、ヘトヘトになってしまうことは珍しくありません。さらには犬の側も「トイレを失敗した」と認識し、シュンとしてしまうことがあります。

しかしオムツをすることで、飼い主さんの負担は確実に減らせるはずです。さらには飼い主さんの気持ちに余裕が生まれることで、犬も落ち着いて過ごせるようになるのではないでしょうか。

トイレトレーニングが入っていない犬にオムツをすることのメリット

トイレトレーニングがされていない犬を家族に迎えたとしたら、オムツをすることによって新たなお家に馴染ませやすくするメリットがあります。

とはいえ、トイレトレーニングができていないから、一生オムツをはかせた方がいいと言っているわけではありません。

トイレトレーニングをいずれするにしろ、保護犬などの成犬を新たにお迎えした場合、まずは「これから先はここが安心できる居場所だ」と理解してもらうことが大切です。

しかし、家の中のあちこちで犬が粗相をしてしまうと、どうしても飼い主さんはバタバタしてしまいますよね。

一度や二度なら笑って片づけられるかもしれません。しかし、毎日毎日続くとうんざりしてしまうのは人情というものです。

ましてや、くたびれている時に目の前でジャーっと床の上にオシッコをされようものなら、ため息の一つもつきたくなりますよね。

そんな時、たとえ犬のことを叱らなかったとしても、犬は人間の気持ちを敏感に察知してしまう生き物です。ただでさえ新たな環境に馴染めずにいる犬は、飼い主さんのがっかりした気持ちや苛立ちを感じ取って委縮してしまうかもしれません。

まずは信頼関係を築く――そのためのツールとして、オムツは必ずや役立ってくれるのではないでしょうか。

犬にオムツを使うことのデメリット

ここまでは犬にオムツをすることのメリットをご紹介してきましたが、当然のことながらデメリットもあります。

飼い主の側からみたオムツのデメリット

まずは愛犬にオムツをすることで、飼い主にとってデメリットと考えられる事柄についてみていきましょう。

● オムツはペットシーツより割高なことが多い。
● 排泄後(特に排便後)は毎回お尻の周囲をきれいにしてあげないと、かぶれや皮膚炎を起こしやすい。
● オムツに頼りがちになると、トイレトレーニングがいい加減になりやすい。

犬のオムツは漏れ出した排泄物で部屋が汚れるのを防いではくれても、犬の衛生管理をしないで済む魔法のアイテムではありません。

犬の側からみたオムツのデメリット

次に犬の側からみたオムツのデメリットについて考えてみましょう。

● オムツに慣れるまでは、オムツそのものをストレスに感じることがある。
● 排泄したことに気づいてもらえないと、汚れたオムツを長時間身に着けていなければならない。
● 皮膚にかぶれや炎症が起きると、痒みや痛みで辛い。

犬にオムツをすることで生じるデメリットを小さくするには、衛生管理を徹底することが一番であることは間違いないでしょう。

汚れてもさっと掃除ができる床は犬のオムツライフの強い味方

愛犬にオムツが必要になったら、床材の見直しをしましょう。なぜなら犬にオムツをしていても、何かの拍子に排泄物が漏れ出してしまうことはありえるからです。

また、加齢で体が衰えた犬や病気で動けなくなった犬は、食事が口から零れてしまうこともあれば、嘔吐などで床を汚してしまうことも珍しくありません。

どんなに可愛い愛犬だろうと、犬の介護は疲れるものです。

だからこそ、汚れたらさっと拭き取れて掃除に手間のかからない床は、飼い主さんのストレスをかなり軽減してくれるでしょう。

おすすめは、ビニールのフローリング(クッションフロア)です。水気のあるもので汚れても簡単に拭き取ることができますし、クッションの名の通り柔らかな踏み心地が犬の体に優しい床材といえるでしょう。

また、部屋全体の床材を変えるのが難しい場合は、犬の行動範囲に防水性のあるPVCマットなどを敷くという方法もあります。

いずれにしろ、汚れても掃除がしやすい工夫は飼い主さんの気持ちに余裕を持たせてくれるだけではなく、家の床が傷んでしまうのを防いでくれますよ!

愛犬のオムツは一歩進んだオシャレアイテム

一昔前まで、犬のオムツにはどこか物悲しいイメージがあったように思います。

しかし、いまやオシャレアイテムと呼んでも過言ではないほど、カラフルな色合いやポップな柄の可愛らしいオムツがたくさん登場しました。

オムツカバーに至ってはほとんど洋服にしか見えないものも多く、飼い主さんは愛犬の洋服を選ぶのと同じ感覚でオムツを選ぶことができます。

犬のオムツは愛犬の排泄問題を解決してくれるお助けアイテムであると同時に、いくつになっても愛犬を可愛くいさせたいという、飼い主さんの親心を後押ししてくれる一歩進んだオシャレアイテムではないでしょうか。