もしも我が家に超大型犬がいたら――。犬好きなら、誰もが一度は想像したことがあるはずです。

超大型犬とは「超」とつくだけあり、大型犬よりさらに大きな犬のことをさします。大型犬でも最大級ともなれば40kg近くありますが、超大型犬はそれを上回る40kg以上。100kgを超えるモンスター級に至っては、小熊やポニーと見間違いそうなサイズ感です。

この記事では、日本ではなかなか見る機会の少ない、超大型犬について解説しています。

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超大型犬とは「びっくりするほど大きな犬」のこと

超大型犬とは、一般的に体重40kg以上の犬とされています。ただし、犬のサイズはなんらかの定義や取り決めにより、大型・中型・小型と区別されているわけではありません。

あくまでも一般的な概念によるものなので、「大型犬」とされている犬種でも40kg以上になることもあれば、反対に「超大型犬」とされながらも40kgに満たない犬もいます。

たとえば秋田犬を例に考えてみましょう。秋田犬は体重30〜35kg程度の犬が多いため、基本的には大型犬とされています。しかし、中には50kg近くになる重量級もいて、体重だけなら超大型犬と言えなくもありません。

また、ボルゾイは体重だけみれば35kg前後とそこまで重いとは言えず、一般的には大型犬と認識されています。しかし、体高は80cm前後と背中の位置が成人女性の腰ぐらいまであることから、体重以上に大きく見えるので超大型犬とする向きもあるのです。

となると、超大型犬は体重40kg以上の犬と一括りにするよりも、「出会ったらびっくりするぐらい大きな犬」と考えたほうが、実際はしっくりくるのかもしれませんね。

ギネスに記録されている世界一背の高い犬と世界一重い犬

世界一背の高い犬

ギネスに記録されている世界一背の高い犬(2022年時点で生存している犬)は、アメリカ・テキサス州ベッドフォードで暮らしているグレートデーンのゼウス君です。

その体高はなんと1.046メートル(1m4cm6mm)。後ろ足で立ち上がると2.1メートルにもなるため、大谷翔平選手の身長193cmを優に超えています。

世界一重い犬

ギネスに記録されている世界一体重が重い犬は、イギリスで暮らしていたマスティフのゾルバ君です。その体重はなんと155.58kg。体高も94cmあったとのことで、縦にも横にも巨漢な犬だったことがうかがえます。

ちなみに、1989年以降はギネスの「世界一体重のある犬」部門が廃止されました。その理由は、ギネス記録目的で犬に過度のエサやりをすることを防ぐためです。

超大型犬サイズの人気犬種5選

この章では、出会った人が「小熊みたい!」あるいは「子馬かと思った!」と驚くことの多い超大型犬についてご紹介します。

ボルゾイ

原産国/ロシア
標準的な体重/35~40kg

大型犬に分類されることも多い犬種ですが、実物のボルゾイに出会うとその背の高さに驚かされます。体高に加えて長めの首と細い顔が、なおのこと背を高く見せているのでしょう。

流線形の体と長い四肢は見るからに足が速そうですが、この犬種の特筆すべきはそのジャンプ力。一般的な戸建てのフェンス程度であれば、ヒラリと飛び越えてしまう跳躍力の持ち主です。

グレート・ピレニーズ

原産国/フランス
標準的な体重/55kg前後

モフモフの被毛と可愛らしい顔立ちで、のんびり屋のイメージを持たれやすい犬種。しかしその実は家畜の群れを守る番犬であり、身体能力抜群です。そのため、毎日しっかり運動させないとストレスをためこみやすく、注意が必要。

また、フサフサの被毛を見てもわかるように暑さはかなり苦手なため、夏場のエアコンは絶対に欠かせません。

セント・バーナード

原産国/スイス
標準的な体重/60~100kg

重量級の超大型犬としてお馴染みの犬種。アルプスの救助犬としてもよく知られており、おっとりとした我慢強い性質の持ち主です。

ダブルコートのため抜け毛の手入れは必須ですが、加えてヨダレのケアも欠かせません。驚くほどヨダレを垂らすので、こまめに口の周りを拭かないと家の中がベタベタのヌルヌルになりますよ。

ニューファンドランド

原産国/カナダ
標準的な体重/55~70kg

ほわほわの被毛と人のよさそうな顔立ちが、実に愛らしい犬種です。水難救助犬として活躍しており、足に水かきがあることでも知られています。

人に囲まれて働いてきた歴史を持つことから、見知らぬ人や他の犬とも仲良く接することが得意です。しかしフレンドリーである反面、やや警戒心が低いという一面も。また、甘えん坊で寂しがり屋のため、一人きりでの留守番には向かない犬種です。

グレート・デーン

原産国/ドイツ
標準的な体重/50kg前後

ぱっと見はコワモテとも言えそうな迫力のある風貌ですが、人懐っこく友好的な性格の持ち主です。ギネスブックに世界一背が高い犬と認定されている犬種でもあり、大柄なグレートデーンは子馬と間違われるほど体高があります。

また、心臓病や腫瘍の好発種であることから、平均寿命は7~10年と短命傾向。しかし、一度グレート・デーンと暮らしたら魅力にとりつかれてしまう、魅力の塊のような犬種です。

超大型犬と安全に暮らすには、ゆとりある空間が必要

超大型犬を室内飼育するなら、ゆとりのあるスペースを確保したいところです。

もちろん、狭い室内で飼育できないわけではありません。しかし超大型犬の体格を考えると、余裕のない空間ではストレスなく生活するのは難しくなりそうです。

たとえば同じ体重60kgでも、人間であれば立ったり座ったり歩いたりと、狭いなりに動作を室内のレイアウトに合わせることができますよね。

しかし、犬に同じことを求めるのはナンセンス。なぜなら犬は四肢で動き回り、さらにはシッポまでついているので動作そのものが根本的に人間とは違うからです。

また、人間であれば「ガラス=落とすと割れる」と理解できますが、犬にそれを求めても意味はありません。

ほんの数日だけなら、超大型犬と狭い空間で暮らすのも楽しそうですよね。しかし日常として考えたとき、ゆとりのある空間+超大型犬の動線を考えた室内のレイアウトが、愛犬と飼い主双方の安全に欠かせないのです。

超大型犬を飼うなら脱走防止の備えを万全に

万が一超大型犬が逃げ出してしまったら――。

小型犬や中型犬が逃げ出したときとは比べ物にならないほど、大騒ぎになるのは間違いありません。犬種によっては事件として扱われることになり、飼い主が考えている以上に深刻な問題になるでしょう。

超大型犬の多くは見た目とは裏腹に、飼い主に従順でおっとりした性質の持ち主です。しかし、超大型犬を飼うなら近隣への配慮をおざなりにするべきではありません。

● 玄関ドアはきちんと施錠し、内側に大型犬対応のゲートを設置しておく
● 塀で囲われている庭で犬を遊ばせる際は、出入口に内側からロックをかけておく

こういった脱走防止をしっかり準備しておくことが、愛犬の安全を守るとともに近隣への配慮にもつながります。

超大型犬を飼うなら経済的なゆとりも必要

超大型犬は食費・医療費・備品費など、すべてにおいてコストがかかります。小型犬なら1ヶ月のドッグフード代はせいぜい数千円程度ですが、超大型犬ともなれば2~3万は覚悟しなければなりません。

予防薬やワクチンも費用は体重に比例して高くなり、ペットシーツの使用枚数も多く、首輪・リード・ケージなども大きいサイズほど価格が上がります。

犬好きとして生まれたならば、一度は超大型犬を飼ってみたい――という憧れを叶えるには、経済的なゆとりが必要なのは間違いなさそうですね。