愛犬をドッグランに連れていったら、次から次にいろいろな犬と遊んで実に楽しそうにしていた――飼い主としては、こんな光景が見られたら連れていったかいがありますよね。

ところが、せっかくドッグランへ行ったのに、楽しく遊ぶどころか他の犬に唸り声をあげるばかりで…、とがっかりされる飼い主が実は少なくありません。

愛犬が社交的な性格なら、犬友ができて飼い主も楽しそうですよね。しかし、犬が社交的な性格になるには必要なものがあります。それは社会性です。

犬の「社会性」と「社交性」の違いとは?

社会性と社交性――。たったの一文字違いですが、この二つは似て非なるものです。

• 社会性……犬が人間社会の中で暮らすうえで、身に付けておくべきこと。例えば人間は怖い存在ではない、人や他の犬に噛みついてはいけない、道を歩いている知らない人や自動車・自転車は追い払わなくていい、等々です。

• 社交性……他の犬と楽しく遊ぶこともできれば、遊びたくないときは適切にお断りすることができること。

社交性は他の犬と楽しく遊ぶことだと思われているかたが多いようですが、穏便に「私は一人でいたいので遊びません」と意思表示できることもまた、正しい犬の社交性です。

つまり、「遊ぼう」と誘ってきた犬に対し、唸ったり噛みついたりして追い払ったとしたら、それは適切な断り方ではありません。そのような犬は社交性だけではなく、社会性も身についていないのです。

社会性をきちんと身に付けた犬だけが真の社交的な性格になれる!

犬の社会化には失敗してしまったけど、とりあえず他の犬と遊べる社交性だけは身に付けてほしい――。もしもそのように考えているとしたら、残念ながらそれは不可能です。

というのも、社交的な性格の犬に必要な素養――他の犬とどのように遊べばいいのか、噛みつく時の力加減はどの程度なら遊びの範疇に収まるのか、相手との力量のはかり方――優劣の付け方はどのようにして決まるのか。

遊び相手にしてほしいこと・してほしくないことは、すべて社会化の中で学習していくことです。こういった事柄は、本来であれば親犬や兄弟姉妹犬との触れ合いの中で培っていくものでなければなりません。

しかし、しっかり犬同士の付き合い方を学ぶ前に親犬や兄弟姉妹犬から引き離された犬は、社会性が未熟なまま飼い主のもとへ行くことになります。となると、ここから先は飼い主が責任をもって社会化させなければいけないのです。

そこをなおざりにしたまま他の犬と仲良くさせようとしても、それは無理に決まっていますよね。そんな都合の良い話はないのです。

愛犬を社交的な性格にするために必要なこと

愛犬をいろいろな犬と楽しく遊べる社交的な性格にするには、きちんと社会性を身に付けさせることが不可欠です。

人間社会の中にあふれている様々な音やにおいに慣れさせる

家の中とは違い、一歩外に出ればこれまでに経験したことのない様々な音やにおいがあふれています。子犬の頃に社会化させるべきなのは、子犬は未知のものへの恐怖より興味が勝っているからです。

子犬期にきちんと社会化できなかった犬は、知らない音やにおいに対して過敏に反応してしまうことでしょう。しかし、だからといってあきらめる必要はありません。

子犬と比べればかなり時間はかかりますが、成犬になってからも一歩ずついろいろな音やにおいを経験させることが、社会性→社交性獲得への一本道です。

いろいろな人や犬と出会う機会を作る

子犬のうちにいろいろな犬と遊ぶことは、噛みつく力加減を学んだり、相手との力量をはかる良い機会になります。強い犬に無謀にケンカを売った結果、やり込められてしまうのも大事な学習といえるでしょう。

また、飼い主家族以外の人と接することも、「人間は怖くない、優しくしてくれる」と学習するためには必要なことです。

こちらもまた、子犬期に適切な社会化ができなかった犬にとっては、高いハードルになることでしょう。

しかしあきらめずに少しずつでも知らない人と触れ合うようにし、「嫌なことは何もされなかった」「おやつをもらった」などの良い体験を重ねていくことが、遠い道のりでも社交的な性格を獲得するには必要なのです。

社交的でフレンドリーな犬が多い犬種9選

犬を社交的な性格にしたいと思ったら、地道な社会化を避けて通ることはできません。とはいえ、生まれ持った特性として社交的でフレンドリーな犬種がいることは事実です。

ただし、ここで紹介している犬種も、適切な社会化なしに社交的な犬になるわけではありません。きちんと社会化をさせると、ものすごく社交的でフレンドリーな犬になる――このように理解しておくことが大切です。

ゴールデン・レトリーバー

社交的でフレンドリーな大型犬の代表格です。自分より体格の小さな犬や子どもとでも仲良く遊べる性質だからこそ、世界中で人気のある犬種になりえたのでしょう。

シェットランド・シープドッグ

きちんとしつけられたシェルティーは、他の犬と仲良く遊べる優れた社交性を身に付けています。ところが知らない人に対してはちょっとそっけない態度をとるあたり、実に頭の良い犬です。

パグ

少々気分にムラのある犬のため、他の犬と遊ぶときは遊ぶけれど、気分が乗らないときはひとりでマイペースに過ごせる犬です。

トイ・プードル

頭が良く遊び好きなこの犬種は、たくさんの犬と楽しく遊ぶことが上手です。見た目の可愛さや抜け毛の少なさなど、なるほど人気があるわけだとうなずける犬種といえるでしょう。

キャバリア・キングチャールズ・スパニエル

数ある犬種の中でも、飛びぬけて警戒心の少ない犬種です。人間に対しても犬に対してもフレンドリーに接するこの犬は、これぞまさしくザ・社交的。ただし、番犬にはまったく向いていません。

アメリカン・コッカー・スパニエル

明るく陽気な性格の持ち主で、見た目の可愛らしさからも社交性にあふれています。おおらかで警戒心の少ないこの犬種は、キャバリア同様に番犬としては役に立たないでしょう。

ポメラニアン

活発で遊び好きなこの犬種は、上手に社会化ができると驚くほど社交的な性格の犬になります。その反面、社会性が足りないと神経質な面が強く出てしまうため、どちらに転ぶかは飼い主さん次第です。

ミニチュア・ダックスフンド

この犬種にはロング・ワイヤー・スムースの3種類の毛質がありますが、最も遊び好きで社交的な性質の持ち主はロングコートです。一昔前にミニチュア・ダックスフンドが大人気になったのは、社交的なロングコートが貢献しています。

シーズー

愛情深く友好的なこの犬は、人間とのコミュニケーションのとり方がとても上手です。犬同士のおつきあいに関しては犬個々によって違いがありますが、遊びの誘いを断るのも上手なので、ドッグラン等でも問題を起こすことは稀といえるでしょう。

社交的な性格の愛犬と楽しく暮らすお部屋作りとは?

愛犬が社交的な性格をしているなら、お家に友達を招くのも楽しそうですよね。犬好きの友人知人に犬連れで遊びに来てもらうためにも、お部屋を犬仕様にしておきましょう。

• 犬の安全に配慮して、床の材質は滑りにくいものにする。
• よその犬が粗相したときのことを考慮し、床材は汚れを拭き取りやすい素材を選んでおく。
• ソファーは犬が飛び乗る前提で引っかき傷や汚れに強いものを選んでおくと、少々のことが起きても慌てずに済む。
• カーテンは消臭機能のあるものを選ぶ。

犬連れの友人知人を招いてパーティーやBBQを楽しめたら、これぞまさしく楽しいドッグライフですよね!