犬は本来群れで生きる動物です。だからこそ、ひとりぼっちが苦手な犬が多いのでしょう。
大手ペット用品通販会社が犬を飼っている500人を対象に飼育している犬の数を調査したところ、1匹だけの割合が88.8%と大多数を占めていました。となると、「愛犬が留守番中に吠え続けて困る」という悩みが多いことは、当然の結果なのかもしれません。
この記事では、寂しがり屋な犬によく見られる特徴や、寂しがり屋と混同されやすい分離不安について解説しています。
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そもそも、寂しがり屋とはどんな犬のこと?
犬にはいろいろな性質の持ち主がいます。冒頭で「犬はひとりぼっちが苦手で寂しがり屋な性格が多い」と述べましたが、中には孤独をまったく物ともしないツワモノも…。
ただし、ひとりきりでも全く寂しがらない犬が少数派であることは、間違いなさそうです。大多数の犬は孤独を嫌がる傾向にありますが、中でも特に寂しがり屋な性格の犬には次のような行動が見られます。
• 飼い主が視界から消えると、とたんに不安になって落ち着きをなくしてしまう。
• 遊んでほしい、オヤツをもらいたい等の具体的な要求がなくても、とりあえず飼い主の後をついてまわることがある。
• なでてほしい、かまってほしい、抱っこしてほしいなど、飼い主に対して自分への注目を強く求めがち。
上記のような行動がほどほどであれば、飼い主としては愛犬に甘えられて、まんざらでもないかもしれませんね。
寂しがり屋な犬の良いところと悪いところ
犬の性格は人間と同様に多種多様です。それぞれに良いところと悪いところがあり、寂しがり屋にもメリット・デメリットの両方があります。
◆寂しがり屋な犬の良いところ
• 飼い主に愛情表現が伝わりやすい。
• ひとりぼっちを嫌うため、他の犬との交流を喜ぶ社交的な犬が多い。
• 寂しがり屋の犬には遊び好きが多く、その性質を利用することでトレーニングがしやすい。
◆寂しがり屋な犬の悪いところ
• ひとりぼっちの時間が精神的なストレスになりやすい。
• 寂しがり屋がエスカレートすると、分離不安を発症するリスクが高い。
分離不安については後述していますので、詳しくはそちらを参考にしてください。
犬の寂しがり屋な性格と分離不安は似て非なるもの
犬の分離不安は、ある意味寂しがりやな性格が病的にエスカレートした状態です。大好きな飼い主さんがいなくて寂しいという気持ちは、どんな犬にもあることでしょう。しかし、いないことが不安に直結してしまった精神状態は、放置してよいものではありません。
犬の分離不安の症状は、時として単なる寂しがり屋と混同されがちです。しかし、飼い主さんがいなくなってからの行動を見ることで、その違いがわかります。
• ただの寂しがり屋 → 飼い主が出かける際と出かけた直後はワンワン吠えたりウロウロ歩き回ったりするが、少しすると落ち着いて大人しくなる。しかし飼い主の帰宅を察知すると再び騒ぎ始める。
• 分離不安症の犬 → 飼い主の姿が見えなくなったとたん不安になり、飼い主が帰ってくるまで鳴き続ける、トイレシーツをビリビリに破く、物を壊すなどの問題行動を続けてしまう。
ただの寂しがり屋の犬も、出かける時と帰ってきた時に騒ぐことがあります。そのため、飼い主さんは留守中の犬の行動がわからず、分離不安症かどうかが見極めにくいですよね。
そのような場合は、ビデオカメラや使わなくなったスマホの動画撮影を利用して、留守中の犬の様子を撮影してみましょう。
あんなに大騒ぎしていたのに、数分経ったら静かになってそのうち寝てしまった――このようなケースであれば、何も問題はありません。しかし、留守の間ずっと不安そうな素振りを見せているとしたら、分離不安の可能性を考えるべきです。
愛犬を分離不安にしないために飼い主としてできること
寂しがり屋ではない犬に比べて、寂しがり屋な性格の犬が分離不安になるリスクが高いのは間違いありません。
しかし、病的な分離不安の引き金を引いてしまうのは、実は飼い主さんの行動であることが多いのです。次のような愛犬との接し方は、分離不安の原因となります。
• 四六時中愛犬とべったり過ごしている。
• 留守番中にオモチャやオヤツなど気を紛らわすものが何もない。
• ケージや寝床の設置場所が適切ではない。
• あまり散歩に連れ出さず、慢性的な運動不足と刺激不足に陥っている。
上記のような愛犬との接し方は、ひっくり返せば愛犬を分離不安にさせないためにできることとも言えるでしょう。
• 飼い主さんの在宅中も、あえて犬をかまわない時間を作る。
• お気に入りのオモチャやオヤツなどを、留守番の時にだけわたすようにする。
• ケージや寝床は外の気配が伝わりにくい、落ち着ける場所に設置する。
• 毎日しっかり散歩に連れ出して運動させる。
また、家の中で「待て」のトレーニングをすることも、分離不安の緩和につながります。大好物のオヤツなどを利用して、少しずつ「待て」をさせた状態の愛犬と距離を離していくのです。
ある程度できるようになったら、飼い主さんは家の中にいる状態で愛犬が見えないところへ移動しましょう。これもできるようになったら、今度は家の外へ出てみます。
こんなふうに「飼い主さんの姿が見えなくなる」ことと「ご褒美をもらえる」良いイメージをマッチさせていくのです。もちろん時間はかかりますが、愛犬の精神衛生のためにもここはひとつがんばりましょう!
寂しがり屋が多い犬種
スマホを介して外出先から留守番中の愛犬の様子を確認できる、ドッグカメラの会社が面白い調査結果を発表しているのでご紹介しましょう。
このドッグカメラには、飼い主の不在中に犬が吠えた回数を通知する機能があります。そのデータを日本とアメリカの犬種別に集計した結果によると、「よく鳴いた=寂しがり屋」の犬種は以下の通りです。(日/日本 米/アメリカ)
• ポメラニアン(日)
• ヨークシャー・テリア(日・米)
• ウェルシュ・コーギー・ペンブローク(日)
• パピヨン(日)
• ミニチュア・シュナウザー(日)
• サモエド(米)
• プードル(米)
• ビション・フリーゼ(米)
• ドーベルマン(米)
この結果によると、日本とアメリカの両国で飼い主の留守中によく鳴いた犬種はヨークシャー・テリアだということが判明しました。ヨーキーは甘えん坊の犬種として知られていますので、納得の結果と言えそうですね。
寂しがり屋ではない犬種
前項のドッグカメラのデータにより、飼い主の留守中に「あまり吠えなかった=寂しがり屋ではない」犬種も判明しています。
• ウェルシュ・テリア(日)
• 狆(日)
• ペキニーズ(日)
• 秋田犬(日)
• ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア(日・米)
• バーニーズ・マウンテン・ドッグ(米)
• シェットランド・シープドッグ(米)
• 柴犬(米)
• アメリカン・スタッフォードシャー・テリア(米)
この結果、日本とアメリカの両国であまり寂しがり屋ではないと判明した犬種はウエスト・ハイランド・ホワイトテリアでした。ウェスティーは独立心が強い犬として知られていますので、なるほどと言ったところですね。
寂しがり屋な性格の犬と快適に暮らすためのお部屋づくりとは?
寂しがり屋な性格の犬と快適に暮らすうえで、大切なのは飼い主と犬のテリトリーを明確にしておくことです。
たとえば、リビングでも犬とべったり、寝る時も一緒のベッド……。これでは寂しがり屋な性格の犬は、飼い主さんに依存する一方になってしまうことでしょう。
まずはケージやサークルなどを設置して、犬がひとりでも安心していられる「居場所」を作ることが先決です。そのうえで、家具の配置を変えたりカラーボックスを置いたりして、
犬の視界に飼い主さんの姿が入り過ぎないようにすることをおすすめします。
寂しがり屋な性格の愛犬がひとりぼっちでもリラックスできるようになることは、愛犬が幸せに暮らすためには欠かせないことですよ!