マーケティングリサーチ会社のアンケートによると、犬のイメージの1位と2位は「人懐っこい」「忠誠的」だそうです。以下、賢い、従順、元気・快活とポジティブなイメージが続くわけですが…。

実際のところ、犬の性格は千差万別です。イメージ通りに人懐っこい犬もいれば、神経質でちょっとしたことにビクビクしてしまう繊細な犬も少なくありません。

この記事では、神経質な性格の犬とはどのような犬なのか、どのように接することが望ましいのかを詳しく解説しています。

神経質な性格の犬とは?

「神経質」という言葉を辞書で調べると、「情緒的に不安定でわずかなことにも過敏に反応する気質」「細かいことまで気に病むたち」とありました。これを犬の神経質な性格に置き換えてみると、以下のような性質になります。

• 初めて見るもの、聞き慣れない音、食べたことがないものなど、今までに経験したことのない事が全般的に苦手。
• 警戒心が必要以上に強く、なかなか相手に気を許さない。
• 何かに驚いたとき、パニックに陥って攻撃的な行動をとることがある。

また、神経質な性格の犬はおおらかな犬に比べると、人に触れられることをあまり好まない傾向にあるようです。これは、相手が可愛がってくれている飼い主さんであろうと例外ではありません。

飼い主になでられたり抱っこされたりするスキンシップが嫌なわけではないものの、甘えん坊な犬のように「抱っこ抱っこ!」とせがむことは少なめです。

神経質な性格の犬が見せがちな行動

神経質な性格の犬は、次のような行動をすることがあります。

• 雷・花火・工事の音など、何かに驚いたとたん落ち着きのない行動をとることがある。怯えが高じた結果、パニックに陥ることも。
• いつもと違う散歩コースに行こうとしたら、嫌がって歩こうとしなくなった。
• ドッグフードの銘柄を変えると、警戒してなかなか食べようとしない。
• 大きな音でもないのに、聞き慣れない音がすると緊張してしまう。
• 寝床をやたらと念入りにホリホリする。
• 下痢や嘔吐をしがちだが、これといった疾患は見つかっていない。

上記のような行動からもわかるように、神経質な性格の犬は「変化」が苦手です。いつもとは違うことが起きると必要以上に警戒し、緊張状態がストレスとなって体調を崩してしまうことも…。

また、神経質な性格の犬は唐突な出来事も得意ではありません。たとえ相手が大好きな飼い主さんであろうと、不意打ちで触られるとビクっとするのはそのためです。

神経質な性格の犬にやってはいけないNG行為

神経質な性格の犬は繊細な感受性の持ち主です。大らかな性格の犬であればどうということのない事も、神経質な犬にとっては大きなストレスになることもあるでしょう。

次のような行為は、神経質な性格の犬に対してやってはいけないNG行為です。

• 頭をガシガシ強いタッチでなでる等、乱暴な仕草で犬に触る。
• 犬が気づいていないのに、いきなり体に触る。
• 犬を叱るとき、大声で怒鳴りつける。
• 犬を叱るとき、早口でまくしたてる。
• 犬を叱るとき、ドスのきいた凄みのある声で言い聞かせる。

おおらかな性格の犬は、荒っぽい仕草でガシガシなでられるようなスキンシップを全身で喜ぶこともあります。

しかし、その反応を神経質な性格の犬に求めるのは酷というものでしょう。神経質な性格の犬だからといって、飼い主との触れ合いが嫌なわけではありません。ただ、出来る限りびっくりしたくないだけなのです。

神経質な性格の犬を落ち着かせる方法あれこれ

「うちの子はかなり神経質だよなぁ…」と感じたら、出来るだけ緊張させないように接してあげるのが一番です。

なんとかして神経質な性格を変えたいと思うかもしれませんが、残念ながら生まれ持った性格はそうそう変わりません。

しかし、ちょっとしたことで落ち着きを取り戻せることもありますので、あきらめずにいろいろ試してみましょう。

神経質な犬を落ち着かせる方法①毎日の適度な運動

心地よく疲労することでリラックスできるのに加え、イライラや不安を軽減させる幸せホルモン「セロトニン」の分泌を促す効果が期待できます。

神経質な犬を落ち着かせる方法➁知育トイの活用

大好物のオヤツを探す知育トイに集中することで、必要以上に周囲の状況に敏感になる時間を減らすことができます。また、オヤツを探し当てた達成感は、幸せ気分を増強する神経伝達物質「ドーパミン」の分泌促進に役立ちますよ。

神経質な犬を落ち着かせる方法③セロトニンの材料になる食材

カツオ・マグロ・チーズ・豆腐・米・バナナなど、セロトニンを作るのに必要なトリプトファンというアミノ酸を多く含んだ食べ物をフードにトッピングしてみましょう。

神経質な犬を落ち着かせる方法④ストレス緩和サプリ

GABA(ギャバ)・テアニン・セントジョーンズワート・バレリアン等、ストレス緩和に効果のあるサプリメントを使うことで、落ち着きを取り戻す効果が期待できます。

神経質な犬を落ち着かせる方法⑤犬のリラックスミュージック

犬がリラックスするように作られた音楽を聞かせてみましょう。YouTubeで「犬 リラックス 音楽」で検索すると、たくさんヒットします。いくつか聞かせてみると愛犬が落ち着く曲が見つかるかもしれませんよ。

神経質な犬を落ち着かせる方法⑥犬を落ち着かせる洋服

犬の興奮を鎮める目的で開発された洋服を着せてみるのも良い方法の一つです。洋服に体を包まれることで、適度の圧力が犬をリラックスさせてくれます。花火や雷の音に怯えている時はもちろん、動物病院に行く時に着せると震えがましになるかもしれません。

神経質な犬を落ち着かせる方法⑦リラックス効果のあるツボ

1. 両手で眉間から頭頂部に向かって頭全体をマッサージ
2. 後頭部の真ん中あたりにある窪んだ部分を優しく押す
3. 左右の眉の内側にあるツボを優しく押す
4. 左右の眉の外側にあるツボを優しく押す
5. 前足小指と薬指の間にある水かきの付け根部分を優しく押す
6. 骨盤の一番広いところと背骨が交わる部分で指が深く入るところ優しく押す
7. おへその位置から指一本分下あたりを「の」の字を書くようにゆっくりマッサージ

今回ご紹介した方法は、それぞれワンちゃんに合う合わないがあるはずです。とはいえ、どれか一つでも効果があったらめっけもの!飼い主さん自身も楽しみながら、あれこれ試してみてください。

神経質な性格の愛犬と穏やかに暮らすためのお部屋作り

神経質な性格の犬は、必要以上に周囲の状況に敏感になっています。そのため、愛犬と穏やかに暮らすためのお部屋作りは、いかに愛犬をリラックスさせられるかがポイントとなるでしょう。

• テレビやオーディオなど、音がする機器の近くに愛犬の寝床を作らない。
• 人が歩き回る動線上と、ドアの近くにケージやサークルを置かない。
• 夜間はケージを布で覆い、犬の視界に余計な情報が入るのを避ける。
• 雷や花火の音を怖がる犬には、あらかじめ逃げ込める狭くて暗い場所を用意しておき、落ち着くまでそっとしておく。

神経質な性格の犬は飼い主さんの穏やかな包容力を必要としている

神経質な性格の犬は、ちょっとしたことにも不安や怯えを感じています。飼い主さんから見たら「こんなことで?」と思う事柄が、怖くて仕方がないのでしょう。

生まれ持った神経質な性格を変えることは困難ですが、ある程度までは慣らしていくこともできるはずです。とはいえ、私たちだって苦手なことを何度も強要されたら、気持ちがへこんでしまいますよね。これは犬も同じです。

克服させたいからと無理をさせることは、愛犬を追いつめることになりかねません。神経質な性格の愛犬が穏やかに暮らすには、飼い主さんの包容力が欠かせないのです。