犬の去勢や避妊は何となく必要と思っていても、かわいい仔の体にメスを入れることにためらってしまう飼い主さんも多くいらっしゃると思います。
そもそもどうして手術をしなければいけないのか疑問に思うでしょう。
今回は、犬の去勢/避妊はなぜ必要なのか、そのメリットとデメリットを紹介していきます。

犬の去勢/避妊とは?なぜ必要?

去勢とは、オス犬の精巣を取り除くこと、避妊とは子宮や卵巣を取り除くことです。
手術でそれらを取り除くことによって、将来死亡率の高い病気の予防をすることができ、さらに性別特有の行動を抑えられます。
2017年に行われた全国犬猫飼育実態調査によると、去勢/避妊を推奨している獣医師の割合は、96.1%、日本の約50%の犬が去勢/避妊をしているとの結果が出ています。

去勢/避妊を決断することは、いつまでも健康で長生きをしてほしいという飼い主の願いなのかもしれません。

犬が去勢/避妊するメリット

先述したように、去勢/避妊は将来かかるかもしれない病気や性別特性行動の抑制が主な目的との話をしました。
ここではさらに詳しく去勢/避妊に関するメリットを見ていきます。

幼犬のほうが体に負担が少ない

去勢/避妊手術は、全身麻酔を使って行われます。
幼犬の場合、麻酔の薬を使う量も少なく、成長途中なので、成犬になった際に傷口が綺麗になっている可能性があるのです。
動物病院によって若干の違いはありますが、多くは体重別に料金を設定しています。大きくなってから手術をするよりは、幼いうちに手術をしておくほうがリスクが少ないと言えます。

病気の予防

去勢/避妊で病気の予防になりますが、若い時に行ったほうがより予防率が高いと言われています。
オス犬の場合は、精巣腫瘍になる心配がなくなり、前立腺肥大の予防に。
メス犬の場合は、子宮蓄膿症や、卵巣腫瘍などの心配がなくなり、乳腺腫瘍の予防になります。

マーキング行動などの抑制

犬は縄張り意識が高い動物です。特にオス犬はマーキング行動を取ります。
去勢することにより、マーキングや、縄張り争い、メスに乗りかかるマウンティングなどオスの問題行動の改善に期待できます。
しかし、本能で既にできるようになってしまった片足をあげておしっこをする仕草などは去勢をしても直らない場合もあります。

性格が穏やかになる

去勢/避妊手術をすると、性別特有の攻撃性がなくなります。
例えば、周りを気にしながら縄張りを主張するストレスや、メスに対して執着するなどがそれに当たります。

生理にまつわるトラブルがなくなる

生理はホルモンバランスが崩れ、心が不安定になります。
そのため、機嫌が悪いように見えたり、攻撃的になったりいつもとは違う精神状態となることが多いです。
避妊手術をすると、経血による部屋の汚れもなくなり、精神状態も安定します。

犬が去勢/避妊するデメリット

去勢/避妊は手術を伴うため、デメリットも存在します。
獣医師はもちろん細心の注意を払い手術に挑みますが、手術することによって起きるデメリットに飼い主さんが納得できるかどうかも去勢/避妊手術にはつきものと言えます。

手術に対するリスク

去勢/避妊手術は、全身麻酔をして行います。全身麻酔にはまれに後遺症が出ることもあり、最悪は麻酔によって死亡してしまうこともあります。
麻酔によって出る後遺症は、内蔵機能、肝機能や血圧の低下、心不全や呼吸困難が代表例です。
しかし、獣医師は、リスクをのない、または最小限に抑えるために、事前の身体検査や術前検査、手術中の身体管理など細心の注意を払って施術しています。

ホルモンの影響で肥満になりやすい

去勢/避妊手術をすると、精巣や子宮の活動がなくなるため基礎代謝が落ちてしまいます。
しかし、ホルモンの影響で食欲が旺盛になってしまうので、肥満になりやすい傾向があるのです。
食事を変えたり、運動を多くしたりするなど、体重コントロールが必要になります。

子孫は残せない

去勢/避妊手術は、生殖器そのものを除去する手術です。そのため子どもは作れません。
また、ドッグショーなどの展覧会に出陳する資格もなくなってしまいます。

犬去勢/避妊を考えるなら、動物病院に相談をしよう

犬の去勢/避妊手術を考えるなら、まずは動物病院で相談をしてみましょう。
メリットやデメリットを含め丁寧に説明してくれます。
また、初めてでどこの病院にかかったら良いかわからない場合、評判のよい動物病院を調べてみるなど情報を集めるとよいでしょう。

去勢/避妊手術は、金額が決まっている手術ではないため、金額を聞いておくと相場感もわかり、手術を検討する際の参考になります。

犬去勢/避妊の手術の流れ

ここからは、一般的な動物病院の去勢/避妊手術の流れを解説していきます。

①身体検査の後手術の予約をする

動物病院で獣医師に去勢/避妊手術の意思を伝えたら、まずは手術をしても大丈夫な体なのかを検査していきます。
このとき、手術の予定を決めます。

②来院し、術前検査をする

手術当日、手術をしても問題がないか再度術前検査をします。

③手術同意書を記入し引き渡す

手術をする際には、人間と同じように手術同意書を記入します。
そして犬を引き渡し、術後何時に迎えに来ればよいかの説明を受けます。

④手術

手術をしていきます。手術にかかる時間は犬の大きさなどによって多少変化しますが、おおよそ以下の時間が目安となります。
詳しくは施術予定の動物病院に問い合わせをしてください。

去勢(オス):30分~1時間程度
避妊(メス):1時間~2時間程度

⑤術後管理後お迎え

動物病院によって多少違いますが、傷口を舐めないようエリザベスカラーや、エリザベスウェアを着用し、問題がなければ自宅で療養となります。

⑥自宅療養

自宅療養では、安静を心掛けましょう。
傷口がふさがるまでは、激しい運動はせず、傷口や体調に異常はないかをチェックします。

⑦抜糸

術後7~10日後になると抜糸をするため動物病院へいきます。
このときかかりつけ医による健康チェックを受け、問題がなければ帰れますが、傷口がしっかりふさがるまでは激しい運動は避けたほうが無難でしょう。

去勢/避妊手術の相場

ここからは去勢/避妊手術の相場を紹介していきます。
体重別に犬種がありますが、あくまでキロ数で変化します。
また、動物病院によって違いがあるため、詳細な金額は手術を予定している動物病院にご相談ください。

去勢 金額

5キロ未満(チワワ・ポメラニアン等) 20,000円~
5キロ~10キロ未満(ビーグル・マルチーズ等) 26,000円~
10キロ~20キロ未満(ボーダーコリー・フレンチブルドッグ) 30,000円~
20キロ~30キロ未満(サモエド・ダルメシアン) 35,000円~

避妊 金額

5キロ未満(チワワ・ポメラニアン等) 30,000円~
5キロ~10キロ未満(ビーグル・マルチーズ等) 38,000円~
10キロ~20キロ未満(ボーダーコリー・フレンチブルドッグ) 45,000円~
20キロ~30キロ未満(サモエド・ダルメシアン) 50,000円~

まとめ

去勢/避妊手術については、未だ様々な議論はありますが、メリットデメリットを知っておくことで愛犬との生活にどんな変化が訪れるのか考えるきっかけになるでしょう。
手術をする、しないに関わらずかかりつけ医にどのような手順で進めていくのかなど聞いてみると、詳細に教えてもらえます。怖い病気から愛犬を守るための1つの手段として考えてみてください。