老犬になると寝る時間が増え、さらに病気や老衰で寝たきりになることがあります。多くの時間をベッドで過ごすとなると、愛犬に合わせて快適な寝床をつくってあげたいものです。今はさまざまな介護用ベッドがあるので、どれを選べばいいか悩む飼い主さんもいるかもしれません。

この記事では、老犬の介護用ベッドの必要性や選び方について解説します。老犬がリラックスできる寝床づくりも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

老犬の介護用ベッドはなぜ必要なの?

寝る時間が長い、あるいは寝たきりになると、床ずれができるリスクが高くなります。床ずれとは、長時間同じ姿勢で寝ることで、からだの一部分に圧迫による血行不良が起こり、皮膚の細胞が壊死してしまう状態です。とくに、頬や、腰、肩、ひじ、足の関節など皮膚の下にすぐ骨がある部分に床ずれができやすいと言われています。一度床ずれになると治癒するのが大変なので、床ずれが起きないように予防することが大切です。

介護用ベッドはクッション性に優れているだけでなく体圧分散できるように設計されているため、犬のからだへの負担を減らし床ずれのリスクも下げられます。また、洗濯できるタイプや、移動や寝返り時に役立つ持ち手つきのタイプもあり、飼い主さんの介護負担を減らす工夫がなされています。

体力の少ない老犬にとって睡眠は重要なので、介護用ベッドで快適な睡眠を確保できるようにしてあげましょう。

老犬の介護用ベッドの選び方

介護用ベッドを選ぶ際は、通気性がよい・体圧分散できる・洗濯できる・ほどよい厚みがあるものを選びましょう。ここでは、それぞれのポイントを解説します。

通気性がよい介護用ベッドを選ぶ

通気性が悪いと、湿気がこもり皮膚がムレて皮膚炎をおこしやすくなります。
皮膚の状態が悪くなると、床ずれも起こりやすくなるので注意が必要です。通気性がよい介護用ベッドを選び、夏でも涼しくムレにくい環境を整えてあげましょう。冬場は寒さを感じやすいので、愛犬の状態に合わせて服を着せる、ブランケットやタオルなどを併用するといった工夫がおすすめです。

体圧分散できるものを選ぶ

老犬は痩せて脂肪が少なくなるので、横になったときに骨ばった部位への圧力が集中しやすく床ずれや関節炎が発生しやすいです。体圧が分散される介護用ベッドを選ぶと、圧力が一点に偏らないため、床ずれが発生しにくく犬の体への負担を減らします。
体圧分散は、介護用ベッド選びでとくに重要なポイントなので、必ずチェックしましょう。

洗える介護用ベッドを選ぶ

介護用ベッドの上で老犬が排泄してしまったり、食事の汚れがついたりしたときでも、洗えるタイプであれば清潔な状態を維持できます。シーツだけでなく、ベッド本体が洗えるタイプもあるので、飼い主さんがお手入れしやすいものを選びましょう。介護ストレスを減らすためにも、なるべく簡単にケアできるものがおすすめです。

厚みがある介護用ベッドを選ぶ

通気性がよく体圧分散できる介護用ベッドでも、マットの厚みが薄いと犬の重さによって沈み込み床にあたってしまいます。そうなると、体圧分散の効果が低く、床ずれ予防にならないので、適度な厚みのマットを選ぶことが大切です。特に大型犬に使う場合は、犬の体が重いので気を付けましょう。

低反発と高反発の介護用ベッドの違い

体圧分散できる介護用ベッドには、低反発タイプと高反発タイプがあります。
それぞれの特徴を理解し、愛犬に合わせて選ぶようにしましょう。

低反発タイプは寝心地がよい

低反発タイプは、柔らかく適度に沈むので寝心地がよいと言われています。しかし、柔らかい分、寝返りがしにくいというデメリットがあります。犬が自分で起き上がれる、寝返りできるようであれば低反発タイプでもよいでしょう。

あまりにも柔らかいマットは体が深く沈み込んで不自然な姿勢となり、かえって疲れてしまう場合もあるので注意が必要です。

高反発の介護用ベッドは老犬が起き上がりやすい

高反発タイプは、体が沈まないので寝返りがうちやすく、起き上がりすいと言われています。また、体圧分散の効果も高いため、床ずれ予防にもおすすめです。寝返りが苦手な犬や寝たきりの状態であれば高反発タイプのベッドがよいでしょう。高反発タイプの素材は、通気性や速乾性に優れているので、ムレを防ぎ洗濯してもすぐに乾いてくれます。

ただし、柔らかいベッドを好む犬は高反発タイプだと寝心地が悪く感じるかもしれません。そのようなときは、ブランケットなど柔らかいアイテムと組み合わせるとよいでしょう。

老犬の介護用ベッドは手作りできる?

老犬の介護用ベッドは、手作りも可能です。
たとえば、人間用のマットレスや座布団などを利用し、愛犬のサイズに合わせて介護用ベッドを作れます。自宅にあるもので作れるので、低コストでオリジナルな介護用ベッドを作りたい場合におすすめです。ただし、体圧分散や通気性に優れている素材でなければ、床ずれの予防効果が低くなる点に注意しましょう。

老犬が楽な寝方とは?

老犬にとって楽な寝方は横向きです。足を投げ出して横になっている姿勢は、深い眠りやリラックスしているときによく見かけられます。暑いときや昼寝など、浅い睡眠のときはうつ伏せで寝ていることもあるでしょう。また、寒いときは丸くなって寝る様子が見られます。ほかにも、何かに顎をのせたり、仰向けで寝たりなど、愛犬が好む姿勢が楽な寝方ともいえるでしょう。

寝返りの注意点について

寝たきりの犬にとって寝返りは重要です。犬の床ずれを予防するために、2~3時間おきに寝返りさせてあげましょう。寝返りさせるときは、しっかりと抱き上げて上半身を起こし、反対側に寝かせるようにしてください。足を持ち上げ、背中を軸にして反対側に寝返りさせると内臓にストレスがかかるので注意しましょう。

とはいえ、犬につきっきりで介護をすることは難しいため、寝返りの回数を減らす方法として、体圧分散に優れた介護用ベッドの利用がおすすめです。床ずれができないように、愛犬の状態を見ながら寝返りの回数を調節していくとよいでしょう。

老犬がリラックスできる寝床づくりについて

老犬になると、体温調節が苦手になるので、暑さや寒さに弱いです。季節に合わせて、エアコンやヒーターを利用し、快適な室温を維持しましょう。その際、老犬の体に直接風が当たらないよう、寝床の配置に注意してください。

犬が使うベッドは定期的に洗い、清潔に保つようにしましょう。愛犬がリラックスできるように、好きなタオルやクッションなどを近くに置いてあげるのもおすすめです。

また、犬の足腰が弱くなってトイレまでの距離が遠いようであれば、寝床の近くにトイレを設置してあげましょう。床にはすべりにくいマットを敷いて、歩きやすい環境にすることも大切です。

老犬は不安を感じやすくなるので、飼い主さんのそばにベッドを置いてあげると安心できる場合があります。

まとめ

今回は、老犬の介護用ベッドの選び方について解説しました。
老犬になると、寝る時間が長くなり、寝たきりになる場合もあるので、床ずれ予防のために介護用ベッドの導入を検討しましょう。
介護用ベッドを選ぶ際は、通気性・体圧分散・洗濯できる・ほどよい厚みがあるかチェックしてください。体圧分散できるベッドは、低反発タイプと高反発タイプがあるので、愛犬に合わせて選ぶ必要があります。

寝たきりになった場合は、介護用ベッドの利用にくわえ、定期的に寝返りさせてあげることが大切です。老犬にとって睡眠は大切なので、快適に眠れるように寝床の環境を整えてあげましょう。