「いつまでも元気な愛犬でいてほしい」と飼い主が願うのは当然のこと。 しかし、犬も人間と同じように徐々に歳をとっていきます。 最近は、とくに小型犬で15歳を超えることも多く、飼い主が愛犬の介護をする機会が増えてきました。 犬が高齢になるにつれて、今までできていたことができなくなったり、より丁寧なケアが必要になったりすることもあるでしょう。 老犬と飼い主が快適に過ごすために、介護用品は大きな助けとなるはずです。 そこで、本記事では老犬をサポートする介護用品について目的別に解説します。老犬にやさしいお部屋づくりについても説明するのでぜひ参考にしてください。

老犬の介護用品はなぜ必要なの?

若い頃の犬は、走り回ったりジャンプをしたり、さまざまな動きを軽々とできます。食事や排泄も介助が必要になることはほとんどないでしょう。しかし、歳をとると視力や体力が低下し、足腰が弱くなるなど全体的に衰えていきます。そのため、今まで簡単にできていたことも、老犬にとっては難しくなってしまうのです。

たとえば、排泄を失敗したり階段がのぼれなくなったりすることもあるでしょう。また、のどの乾きを感じにくくなり、飲み込みも上手くできないことがあります。さらに、犬が寝たきりになった場合、食事や排泄、床ずれの管理など、生活のほぼすべてを飼い主が行わなければいけません。

このようなときに、介護用品を適切に使えば、犬も飼い主も快適に生活できます。ぜひ、未来の愛犬のために介護用品の知識をつけておきましょう。

犬の介護用品はどのようなものがある?

犬の平均寿命がのびるにつれて、介護用品も充実してきています。老犬をサポートしながら飼い主の負担も軽減する介護用品は、笑顔のある日々を過ごすために欠かせません。そのため、介護の目的とそれに見合った介護用品を知っておきましょう。老犬の介護が必要になる主な目的は、食事や排泄、歩行、寝たきりによる床ずれ、認知症などです。ここでは、介護用品を目的別に解説していきます。

老犬の水飲み・食事をサポートする介護用品

生きるためには食事はとても大切です。水を飲んだり、食事をサポートする介護用品を紹介します。
老犬の水飲みにおすすめの介護用品は、洗浄瓶とシリンジです。
犬が水を飲まないときや、上手く水飲みできないときに、これらのアイテムを使って直接口に水を入れてあげられます。シリンジは、犬や猫などの動物用に作られたタイプもあり、水飲みだけでなく給餌にも利用可能です。寝たきりの犬に水をあげるときは、誤嚥のリスクもあるので、上の歯茎に向かって水をかけるように少しずつ入れてあげましょう。

また、老犬の食事に便利な介護用品として、食器台や持ち手つき食器、犬用シリコンスプーンがあります。老犬になると飲み込む力が弱くなるので、飲み込みやすい姿勢での食事が大切です。愛犬に合わせた食器台は、頭を下げずに食べられるため、フードを飲み込みやすい姿勢を維持できます。また首への負担も軽くなるので、かがむ姿勢が難しい犬にも適しているといえるでしょう。

持ち手つき食器は、犬が食器の場所までいけない場合や上手く食べられないときに最適です。こちらは、フードだけでなく水を飲ませるためにも使えます。犬用シリコンスプーンは、フードを直接口へ入れられるので、自分で食べられない犬に便利なアイテムです。スプーンはシリコンでできているので口当たりがやさしく、犬にとって不快感なく食べられます。

老犬の排泄・トイレをサポートする介護用品

老犬の排泄・トイレにおすすめの介護用品は、おむつやペットシーツです。
犬が歳をとると、排泄の問題が起きやすくなります。たとえば、トイレまで間に合わずにおもらししてしまったり、排泄する際にふらついて転倒したりします。

そのようなときに、トイレのまわりにペットシーツを広く敷き詰めるのがおすすめです。繰り返し洗えるペットシーツを選べば、コストダウンもできます。また、トイレの形状は、つまずかないように段差がないタイプを選びましょう。粗相を繰り返してしまう場合は、おむつを着用するのも一つの手です。ただし、粗相を繰り返す原因に膀胱炎などの病気が隠れているケースもあるので、一度動物病院に相談してみましょう。

老犬が起き上がれない・歩けないときに使う介護用品

老犬が起き上がれない・歩けないときに便利な介護用品は、歩行補助ハーネスや犬用車いす、ペットカートです。老犬になると、足腰が弱まり筋力が低下するため、すぐに起き上がれなかったり散歩に行きたがらなくなったりすることがあります。また、椎間板ヘルニアや関節炎などの病気で歩行が難しくなることもあるでしょう。お散歩や運動を獣医師から禁止されていなければ、できるだけ歩かせるようにして、足腰の筋力低下を防ぎましょう。

このようなときに便利なのが、歩行補助ハーネスや犬用車いすです。これらのアイテムを使えば、犬の負担を減らしながら歩行を楽しめます。お散歩ができない犬は、ペットカートにのせて日光を浴びるだけでも気分転換になるでしょう。寝たきりの犬もペットカートがあれば、おでかけや通院などが楽になるのでおすすめです。

寝たきりの老犬をサポートする介護用品

寝たきりの老犬に便利な介護用品は、床ずれ防止ベッドやクッションです。犬も老衰や病気などで、寝たきりになってしまうことがあります。寝たきりの状態で、長時間同じ場所に体重がかかると、血流が悪くなり皮膚や筋肉が壊死して床ずれができます。床ずれは、頬や肩、腰など骨ばっていて圧迫をうけやすい部分にできやすいです。

床ずれ防止ベッドとは、体圧分散して床ずれを防ぐマットで、通気性や弾力性に優れているものが多いです。さらに、クッションなどを使って床ずれができやすい部分を個々にサポートしておくとよいでしょう。

寝たきりになった場合は、2~3時間おきに寝返りさせて同じ場所ばかり圧迫されないようにしてください。

認知症の老犬をサポートする介護用品

認知症の老犬におすすめの介護用品は、サークルやコーナーガードです。認知症になると、家の中をぐるぐると徘徊するため、いろいろな場所にぶつかったり家具の間にはさまったりすることがあります。

そのようなときに、サークルがあれば、家具や壁にぶつからず安全に過ごせます。家事をするときなど、どうしても目を離さなければいけないときにサークルがあると飼い主にとっても便利です。サークルは場所を取るイメージがありますが、簡単にたたんで収納できるものが多く、使わないときはしまっておけます。

家具の角や壁にガードやクッションをつけておけば、ぶつかったときの衝撃を緩和できるのでぜひ取り入れてみてください。

老犬の介護用品は手作りできる?

老犬の介護用品は、手作りできるものもあります。自分好みのデザインにしたい場合や愛犬のサイズにぴったりなものを作りたいときにおすすめです。また、タオルや古着など自宅にあるものを使えば費用を抑えることもできるでしょう。実際に、歩行補助ハーネスやおむつカバーなどを手作りされている飼い主もいます。ただし、手作りの場合は、既製品に比較して強度が落ちやすいなどのデメリットもあります。そのため、手作りする場合はできるだけ丈夫な生地を選び、縫製も丁寧に行うようにしてください。

老犬の介護用品はレンタルできる?

老犬の介護用品は、レンタルできるものがあります。たとえば、犬用車いすやペットカートなどが利用可能です。介護用品を購入するか検討している場合、まずはレンタルして使ってみるのもよいでしょう。また、介護用品を長期間使う予定がないときもレンタルで済ませることができます。レンタルの大きなメリットは、高額な介護用品を低価格で利用できることや、自分でメンテナンスしなくてよい点です。しかし、レンタルするものは新品ではなく以前に他の犬が使ったものであるため、新品がほしい場合はおすすめできません。

老犬にやさしいお部屋づくりとは?

老犬にやさしいお部屋づくりのポイントは、以下のようなものがあります。

滑りにくい床にする
段差をなくす
階段前にゲートをつける
家具の角にガードをつける
家具にすきまを作らない

老犬になると足腰が弱まり、踏ん張りがききにくくなります。フローリングなどの滑りやすい床の上には、カーペットやマットなどを敷いて歩きやすいように工夫してあげましょう。床に吸着してずれないタイルマットやコルクマットなどがおすすめです。部分的にヨガマットを利用するのもよいでしょう。老犬は、筋力が衰えるので少しの段差でもつまづきやすいです。

段差は、スロープなどを利用してなるべく平坦な状態にしてください。小さい段差の上は、マットなどでカバーするのも有効です。若い頃は階段をスムーズにのぼれていても、老犬になると足を踏み外して転倒するなどの事故につながる可能性があります。階段の前にゲートをつけて、自由にのぼれないようにしておきましょう。

犬の視力が低下してくると、家具や椅子などにぶつかりやすくなります。家具の角にガードをつけ、椅子の足に緩衝材を巻くなど、犬がぶつかってもケガをしないようにしておきましょう。犬は目が見えなくても物の配置を覚えているので、できるだけ家具の配置を変えないようにしてください。

認知症になると、家具のすきまに入り込んでしまい動けなくなることがあります。犬が家具のすきまに入れないようにクッションなどを入れておくとよいでしょう。

まとめ

老犬のお世話に役立つ介護用品について解説しました。愛犬が歳をとって介護が必要になっても、かけがえのない大切な家族であることに変わりはありません。介護を通して愛犬の新しい一面に気づいたり、一緒に過ごす幸せを感じられたりするでしょう。今回紹介した介護用品を利用することで、愛犬の負担を減らしつつ飼い主のストレスも軽減できます。介護を完璧にしなきゃと気負いすぎず、愛犬とともに笑顔のある穏やかな日々を過ごせるようにしていきましょう。