プニプニっとしたかわいい犬の肉球。触り心地やそのキュートなパーツが好きな飼い主さまは多いのではないでしょうか。しかし、この肉球はただ可愛いだけではなく、愛犬にとって大切なパーツでもあるのです。今回は、犬の肉球にはどのようなヒミツが隠されているのか、どんな役割があるのかなどを紐解いていきます。また、いつまでもプニプニの肉球でいるためのケアの方法なども解説していきます。
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肉球があるのは陸生の食肉目だけ!
私達がいつも目にするペットの中で肉球と聞いて代表的なのは犬と猫ですが、その他にも肉球のある動物は数多くいます。実は肉球を持っている動物は食肉目に分類される動物のみ。ウサギやハムスターも肉球を持っていると勘違いされますが、犬や猫のような肉球は持っていません。
犬や猫などの食肉目とは、肉食を主としているグループのことを言い、獲物を捕らえるための嗅覚や聴覚、運動能力が長けていることが特徴の動物です。犬猫の他には、クマやライオンなども食肉目に当てはまります。一般的にペットとして身の回りにいる動物で肉球を持っているのは、犬や猫のみという事になります。
肉球1つひとつに名前がある
実は肉球には一つひとつに名前が付いています。愛犬の肉球をじっくり観察しながら確認してみましょう。
指球(しきゅう):前足の爪のすぐにある丸い肉球
趾球(しきゅう):後ろ足の爪のすぐにある丸い肉球
掌球(しょうきゅう):指球・趾球の下にある大きめの肉球
手根球(しゅこんきゅう):前足の足首近くにある肉球
肉球の名前を知ると、指や足(趾)手(掌)や手の根本(手根)とその場所の名前と合致しているので覚えやすいですね。
肉球の役目
肉球はただ可愛いだけではなくきちんとした役割があります。可愛いだけじゃない肉球の役目がどんなものなのかを確認していきましょう。
衝撃吸収
プニプニとした肉球は、愛犬の身体を支え、衝撃を吸収するクッションの役割があります。暑い日でも寒い日でも裸足でいることが多い犬にとって、肉球は、人間でいうところの靴と同じような役割を持っています。
静かに行動できる
犬は元々狩りをして生きてきた生き物です。素早く獲物を仕留めるため、気付かれないように行動する必要があります。肉球は足音を消し、相手に気付かれないようにすることが可能です。
グリップ
犬の肉球の表皮は、分厚い角質で覆われており、密集しているスパイクのような突起があり、ブレーキや、グリップをする時に役立っています。そのため、どれほど俊敏に動いても、犬や猫が急に方向転換したり、ピタッと止まったりする事ができるのです。
過酷な環境から足を守るため
犬は、元を辿るとオオカミで、寒い地方で生活をしていました。地面は凍り、鋭い氷や冷たい雪の上を裸足で歩いていたため、保護をするため肉球が進化してきました。それだけではなく、地面に近い場所はハニカム構造といい、丈夫な作りをしています。
体温調節
運動した後や、暑い日など愛犬がハァハァと息を吐いて体温調整をしていますが、肉球にも体温調節ができる機能があります。犬の肉球には、犬の身体で唯一の汗腺があり、ここから汗をかき、体温調節ができるのです。暑い時、フローリングやアスファルトなど見ると汗を出して体温調節をしているのが確認できます。
肉球トラブル
いつも愛犬の身体を支えてくれる肉球ですが、生活しているとケガをすることもあります。しかし、肉球は日常的に利用する部分なため、ケガをすると直りにくい特徴があるのです。日常で起こりうる肉球トラブルを紹介していきます。
やけど
いくら肉球の表皮が丈夫と言っても限度を越えてしまうとやけどを負ってしまいます。例えば、真夏の一番暑い時間帯に外を歩くと、アスファルトの上は60℃を越えることがあり、やけどをしてしまう場合も。また、太陽の光で熱々になった砂浜もヤケドの原因となってしまいます。やけどを負ってしまうと、痛みで歩く事が困難になる可能性もあるので、患部をしっかり冷やしてから動物病院で治療を受けましょう。愛犬を連れて外を歩く際には、暑すぎる時間は避け、朝や夕方の地熱が低くなっている時間帯を選びましょう。また、犬用の靴も有効です。
ひび割れ
冬の寒く乾燥した季節には肉球がカサカサになり、ひび割れが出来てしまう場合もあります。ひび割れが出来てしまうと、歩くだけでも鋭い痛みが出て歩行が難しくなります。肉球の保護と治療が必要となってくるため、動物病院で診てもらいましょう。
指間炎(しかんえん)
文字通り指の間に出来る炎症です。発症する原因は、水遊びで雑菌が入った事で起こります。痛みと共にかゆみも発生するため、常に肉球をなめたりするなど落ち着かないのが特徴です。皮膚トラブルの1つなので、動物病院で治療が可能です。
出血
肉球の出血は主にケガです。走っている時にうっかり何かを踏んづけてしまったり、急ブレーキがきっかけで肉球を擦りむいてしまったり理由は様々です。一度傷がついてしまうと毛細血管の少ない肉球はなかなか治りません。また、菌が入りやすい環境にもなるため、小さい傷でも動物病院で手当をしてもらいましょう。
アレルギー
犬も人間と同じようにアレルギー性皮膚炎を発症する場合もあります。特にアトピーなどの場合、かゆみが強い場合もあり、肉球や、肉球周辺にも炎症が出る場合もあります。悪化すると、肉球の状態が悪化する可能性もあるため、早めに動物病院で相談をしましょう。
角質化
プニプニの肉球が硬くなる現象を角質化と言います。主な原因はお手入れ不足。角質が硬くなると、ひび割れやあかぎれを起こし、出血することもあります。歩くときに痛みが出るため、日常生活にも影響が出来てきます。また、加齢でも角質化は起こりうるため普段から肉球を触り異常があれば、かかりつけの動物病院で相談してみるのもよいでしょう。
肉球のケアは大切
様々な肉球トラブルをお伝えしましたが、トラブルを回避するためには、日頃のお手入れが大切です。毎日できるほんの少しのお手入れなので、愛犬とのスキンシップも兼ねて肉球をケアしてあげてください。
お散歩後にはキレイに拭いて清潔に
お散歩で色々な所を歩いたら、家に入る前に足をキレイにしましょう。足洗い場で洗ったり、濡れタオルなどやわらかい布で拭いたりの他、軽く洗うだけでも大丈夫です。洗いすぎは乾燥などの原因になる可能性があるためおすすめできません。特に雨の日など、足が濡れている場合は、足の指の間までしっかり拭いてあげることが大切です。
適度な保湿はかわいい肉球を維持するために大切
冬の乾燥した空気や、アスファルトやコンクリートなどの固い地面の散歩、加齢など様々な理由で肉球は乾燥します。家でリラックスしているときや、お散歩から帰った後などに肉球用の保湿剤を使うと、潤った肉球を保つことができます。1日1回程度で十分ですので、スキンシップを兼ねてみるとよいでしょう。保湿剤は人間用のものは使わず、動物病院で処方してもらうか、市販の犬用クリームでのケアがおすすめです。
犬の肉球は健康のバロメーター|日頃からのスキンシップが大切
犬の肉球はかわいいだけではなく、様々な機能が備わっているパーツです。いつまでも元気でいてもらうためにも、肉球のケアはとても大切です。やけどに注意したい夏や、乾燥が気になる冬の他にも、湿度が高い梅雨時など、気をつけたい季節や路面状況を注意深く観察する必要があります。愛犬との日頃のスキンシップを通じて肉球をケアしてあげてくださいね。