パイナップルといえば、甘くて美味しいトロピカルフルーツの代表格。
とはいえ、リンゴやバナナと同じように愛犬にあげていいものか、迷っている飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

結論から先に申し上げますと、パイナップルは犬に食べさせても大丈夫です。ただし、与えすぎると下痢や便秘の原因になることも…。
この記事では、パイナップルの栄養素や与える時の注意点を解説しています。
食糞防止効果のウワサについても触れていますので、ぜひ参考にしてください。

犬の健康に効果が期待できるパイナップルの栄養成分

パイナップルはビタミン・ミネラルをはじめとした、たくさんの栄養成分が含まれている果物です。その中でも、犬の健康増進に効果が期待できる成分をご紹介します。

ビタミンB1(チアミン)
分類/水溶性ビタミン
生命維持と細胞増殖に関わっているビタミンで、不足すると神経や心臓・肝臓・腎臓の働きに支障をきたす可能性があります。
● 神経伝達物質アセチルコリンの合成に関与
● 糖質のエネルギー変換促進作用
● 皮膚や粘膜の健康維持
ビタミンC(アスコルビン酸)
分類/水溶性ビタミン
抗酸化作用が強く、アンチエイジングや免疫機能を向上させる働きが期待できるビタミンです。
犬は体内でビタミンCを合成できますが、酸化ストレスや加齢などの原因により、現代の犬は不足しがちであることが指摘されています。
● 酸化力の強い分子の減弱あるいは除去作用
● 鉄の吸収促進作用
● コラーゲンなどのタンパク質合成に関与
クエン酸
分類/有機化合物

果物・野菜などに含まれている酸っぱい成分で、体内に蓄積した疲労物質の乳酸を分解する作用が注目されています。
● 糖質のエネルギー変換促進作用
● カルシウムなどミネラル成分の吸収促進作用
● 代謝促進と疲労回復効果

マンガン
分類/微量必須ミネラル
生体内に存在している量はほんの少しですが、いろいろな酵素の補助因子として重要な役割を担っているミネラルです。
● カルシウム吸収と軟骨形成の促進
● ミトコンドリアの機能正常化に関与
● 体内酵素の活性化に関与
食物繊維
分類/難消化性成分
食物繊維は消化されないため、厳密にいえば栄養成分ではありません。しかし、発酵性の食物繊維は腸内細菌(善玉菌)のエサになるため、整腸作用に大きく関わっています。
● 水溶性食物繊維→善玉菌の増殖
● 不溶性食物繊維→腸の蠕動運動促進と便のかさ増し
(※パイナップル100gの食物繊維含有量/水溶性食物繊維0.2g 不溶性食物繊維1.0g)
ブロメリン(ブロメライン)
分類/タンパク質分解酵素
とても強力なタンパク質分解酵素の一種で、肉類や魚など犬にとって最も重要な栄養素「タンパク質」の消化を向上させる効果が期待できます。
ただし、60℃以上に加熱すると活性を失ってしまうため、生でなければ酵素の効果は期待できません。
● 消化の促進作用
● 腸内環境の改善
● 抗炎症作用

犬にパイナップルを与えるときに注意すること

パイナップルに含まれている栄養成分を見ていくと、愛犬の食生活に積極的に取り入れたくなりますよね。
パイナップルは犬が食べても問題のない果物であることは間違いありません。
しかし、残念ながら最適な食材というには少々注意点が多いことも、併せて知っておきましょう。

パイナップルを与える際に注意すること①嘔吐・下痢・便秘

パイナップルに含まれている食物繊維は、水溶性より不溶性の割合が大きいため、犬の胃腸では消化が困難です。
そのため、消化不良を起こして嘔吐や下痢をしたり、便のかさが大きくなり過ぎたことで便秘の原因になる可能性があります。

パイナップルを与える際に注意すること①肥満や糖尿病

パイナップルは、果物の中ではとりたてて糖分が多いわけではありません。
しかし、それでも100g中には約12.6gの糖質が含まれています。
これはメロンに含まれている糖分より多く、決して少ない量とはいえません。

そのため、与えすぎは肥満の原因になりますし、糖尿病の引き金になる可能性も…。

また、缶詰のパイナップルはシロップ漬けになっているため、100g中の糖質は20g程度とかなり多めです。
ドライフルーツのパイナップルも成分が凝縮しているため、犬に与えるのは避けたほうがよいでしょう。

パイナップルを与える際に注意すること③ブロメリンによる刺激

パイナップルに含まれているタンパク質分解酵素ブロメリンとクエン酸の作用により、唇・舌・喉などの粘膜がピリピリしたり、痒みを生じてしまうことがあります。
犬にパイナップルを食べさせたあと、口内を気にする様子がある場合は、粘膜が敏感になっているのかもしれません。
口内の粘膜がどの程度敏感なのかは個体差が大きいため、愛犬が過敏な反応を見せたとしたら、パイナップルは体質に合わないと判断したほうがよいでしょう。

パイナップルを与える際に注意すること④薬との飲み合わせ

血栓塞栓症などで血栓予防薬(ワルファリン)を服用している犬に、パイナップルを与えるのはやめておきましょう。
タンパク質分解酵素ブロメリンの影響で薬の効果が強く出過ぎてしまい、出血しやすくなる可能性があるからです。

パイナップルを与える際に注意すること⑤アレルギー

愛犬に小麦アレルギーや天然ゴムアレルギーがある場合は、パイナップルに含まれているブロメリンにも反応する可能性があります。
これはアレルゲンとなる物質とブロメリンの分子構造が似ていることが原因の、交差反応性によるものです。

犬の食糞防止にパイナップルが効くって本当?

犬の食糞をやめさせるには、パイナップルを食べさせるとよい――という情報を見かけることがあります。
では実際はどうなのかといえば、パイナップルが食糞防止に効果があるかは真偽不明、としか言いようがありません。
「なんだそれ!期待したのに…」とがっかりした方のために、パイナップルが食糞防止に効果があるのではないかとされる根拠をまとめました。あくまでも推測の域にとどまりますが、参考にしてください。

● 食糞の原因が消化不良だった場合、タンパク質分解酵素ブロメリンの働きで消化吸収が促進され、便中の未消化分が減ることによって食糞をしなくなる。

● クエン酸の影響で便のpHが酸性に傾き、以前より苦味が強くなったことで犬が好まない味に変化する。

● 未消化のパイナップルが便中に混ざることで食糞していた時の便とはニオイそのものが別物となり、食べ物という認識から外れる。

これらの説は、いずれも確かな科学的根拠があるわけではありません。
とはいえ、パイナップルを食べさせたら愛犬の食糞防止に効果があった、という報告が散見されるのも事実です。
愛犬の食糞癖に悩んでいる飼い主さんは、一度試してみてもよいかもしれません。

ただし、パイナップルはあくまでも犬の胃腸が消化しにくい果物です。そのため、胃腸が未発達な子犬や消化機能が衰えている老犬の食糞防止に使うのはおすすめできません。

食糞の原因にはいろいろな要因が隠れているため、まずはしっかり愛犬の様子を観察したうえで対策をとることが大切です。

犬にパイナップルを与えるのは「ごくたまに」程度がベスト

甘い香りのパイナップルを食べていたら、愛犬にねだられた――こんなとき、飼い主さんとしては、ついおすそわけしたくなりますよね。

ほんの一口程度であれば、パイナップルは愛犬を喜ばせる美味しいオヤツになります。
しかし、欲しがるまま与え過ぎてしまえば、嘔吐や便秘など体調不良の原因になってしまうでしょう。

犬にパイナップルを与えるときは、「ごくたまに」と「ほんの一口だけ」――これが合言葉です。