お気に入りの靴を愛犬に噛まれてボロボロにされた!そんな経験をお持ちの飼い主さんは少なくありません。

小型犬から大型犬まで、犬は飼い主さんの靴にイタズラするのが大好きです。しかし、飼い主さんにしてみれば「勘弁してくれ〜」と泣きたくなりますよね。

この記事では、なぜ犬が飼い主さんの靴に執着するのか、噛まれないようにするにはどうすればいいかを解説しています。愛犬にお気に入りの靴やスリッパを狙われている飼い主さんは、ぜひ参考にしてください。

犬が飼い主の靴をイタズラする理由

いろいろなオモチャやぬいぐるみを次から次へと与えているのに、犬が一番喜んで噛みつくのは飼い主の靴やスリッパ――というのは犬飼いあるあるです。

特に子犬の頃は靴やスリッパをイタズラする傾向が強く、気づいたら穴だらけを通り越して、もはや原形をとどめないほど壊されてしまうことも。子犬だからと油断していたら、革靴に修理不可能な穴をあけられてしまうことも珍しくありません。

なぜ犬は工夫を凝らしているはずの犬用オモチャには目もくれず、飼い主の靴やスリッパにやたらと執着するのでしょうか。

噛んではいけない靴と噛んでもいいオモチャの区別がついていない

私たち人間にとって、靴やスリッパは履くものです。当たり前のことすぎて、改めて考える機会はほとんどありませんよね。

しかし、犬にはそもそも靴を履くという概念そのものがありません。噛んでもよいオモチャやぬいぐるみという考え方にしても、私たち人間が勝手に決めているこちら側のルールです。

犬側の視点に立って考えてみれば、オモチャと靴の区別がつかないのに、「こっちは噛んでもいいけど、そっちはダメ」と言われたところで、訳がわかりませんよね。

特に子犬は好奇心旺盛な年頃です。手当たり次第に口に入れて感触を確かめたくなるのは本能のなせる業。そのついでに噛んでいたら、なんだか楽しくなってくるのです。

何も飼い主さんを困らせたくて靴やスリッパに噛みついているわけではありません。

靴やスリッパは犬にとって噛み心地抜群の素材でできている

靴やスリッパの素材は本革、合成皮革、ゴム、布といったように、適度に柔らかくてある程度の弾力があるものばかりです。そう、犬にとって噛み心地抜群な素材で作られています。

仮に靴やスリッパが石やステンレスのように歯の立たない素材で作られていたら、犬も噛んでイタズラすることはないでしょう。

もちろん、そんな硬い素材でできていたら、そもそもが履物としては機能しませんよね。適度な剛性があるのに硬すぎず柔らかすぎず…。その履き心地の良さこそ、犬の噛み心地の良さに通じているのです。

靴は嗅覚にすぐれた犬にとって宝の山

私たち人間は犬より嗅覚に劣りますが、それでも靴のにおいが気になることはありますよね。靴には汗や皮脂がしみこみやすく、おまけに通気性が悪いと雑菌が繁殖してさらににおいがきつくなります。だからこそ「靴が臭い!」となるわけですが…。

犬にとって靴についたにおいは強い興味の対象です。しかも大好きな飼い主のにおいが濃くついているともなれば、これはまさに魅力の塊でしかありません。

さらに靴の裏には外界からもたらされたにおいまで付着しているのです。

嗅覚に優れた犬にしてみれば、オモチャのように自分の口のにおいか家の中のにおいしか付いていないものより、未知のにおいを感じられる靴の方により興味をひかれるのは、ある意味当たり前のことといえるでしょう。

飼い主の注意をひくには靴をカミカミするのが一番

飼い主さんにかまってほしいのに、スマホやパソコンに夢中でちっとも遊んでくれない。でも靴をかじっていたら、飼い主さんがすっ飛んできて大喜びしてくれた――。

もちろん、飼い主さんは大慌て、あるいは叱ろうとして「こらー!!」と大声をだしたのでしょう。しかし、犬にしてみれば飼い主さんがかまってくれただけではなく、嬉しくて大声を出すほど興奮している、と勘違いしてしまうのです。

テレビを観ている飼い主さんの靴下を引っ張って脱がせてしまう犬もいますが、理由は靴やスリッパをかじるのと変わりません。

遊んでほしい、かまってほしい時に何をすれば飼い主さんの注目を集められるのかを、犬はしっかり学習する生き物です。

犬が靴を噛むのをやめさせる方法4選

犬に「オモチャは噛んでもいいけど靴はダメ!」と叱ったところで不毛です。靴やスリッパを噛むことが習慣化してしまう前に、しっかりと対策をとりましょう。

①靴を玄関に出しっぱなしにしない

犬に「靴を噛むのは悪いことだ」と諭したところで、効果は期待できません。なぜ叱られているのか理解できず、犬との信頼関係が築けなくなる可能性すらあります。

靴を噛まれて困っているのであれば、真っ先にすべきは玄関に出しっぱなしにしている靴をすべて靴箱やシューズクロークにしまうことです。

いちいち扉を開け閉めするのが面倒なら、扉のないタイプを設置しましょう。犬が届かない段に靴を並べるだけなので便利ですよ。

➁靴やスリッパなどの履物をオモチャにしない

靴を噛んだときは叱るのに、古いスリッパだと引っ張りっこしてしまうことがありますよね。これは絶対にNG!

犬にしてみれば靴もスリッパも大差ありません。どちらも飼い主さんのにおいが強くついている噛み心地の良いものです。

飼い主さんのにおいが強くついているもの――靴・スリッパ・靴下・手袋などをオモチャにしてしまうと、噛んでいいものといけないものの区別がつかず、愛犬を混乱させることになるでしょう。

③愛犬が好む噛み心地のオモチャやぬいぐるみを与える

まずは出しっぱなしにしている靴をしっかりしまったら、それから愛犬が好む噛み心地のオモチャやぬいぐるみを渡してあげましょう。

犬のオモチャやぬいぐるみには硬いものからソフトなものまで、いろいろなタイプがあります。その中で、愛犬が喜ぶ噛み心地のものを選ぶことがポイントです。

昨今は靴型の犬用オモチャもありますが、飼い主さんのにおいがついていないので本物の靴ほどは喜ばないかもしれませんが…。

④しっかり愛犬と触れ合ってストレスを発散させる

退屈している犬ほど、靴やスリッパをイタズラするものです。飼い主さんの意識が愛犬からそれている時間が長いと、靴をイタズラする機会を与えてしまうことになるでしょう。

毎日の散歩や運動でしっかり体を動かし、飼い主さんと触れ合うことで精神的にも満足させる――これこそが犬の破壊行動をやわらげることにつながります。

子犬の場合は特にその傾向が強く、しっかり体を動かして楽しく遊べた子犬の多くはくたくたになってよく眠ります。イタズラをしている暇なんてなくなりますよ。

せっかく犬を家族に迎えたのです。ボーっとスマホをいじる時間を愛犬と過ごす時間に切り替えて、ドッグライフをとことんまで楽しみつくしましょう。

愛犬が靴を噛んだら、叱るより噛まれない環境づくりが先決

手持ちの中で一番高価な靴を犬にボロボロにされてしまったら――。頭に血が上って犬を怒鳴りつけたくもなりますよね。しかし、犬が靴を噛んでダメにしてしまった原因は、犬の届くところに靴を置いたことです。

噛んでよいものといけないものを根気よく教えていくことは大切ですが、「靴だからダメ」という人間の理屈は犬には通じません。

愛犬との暮らしをより良くするしつけのポイントは、犬が理解できるように教えることです。まずは犬が届くところに靴を出しておくのをやめる――たったこれだけでも、愛犬に靴を噛まれる悩みの大部分は解決できますよ!