現在、日本で飼育されている犬の7割以上が小型犬です。欧米に比べると一般家庭の家屋があまり広いとはいえないこともあり、小型犬という選択は理にかなったものといえるでしょう。

しかし、小型犬の飼育はさほど広々としたスペースが必要ないというメリットがある一方で、真剣にシツケをしなくてもある程度は力で抑え込めてしまえるといった負の側面も…。

この記事では、人気のある小型犬種の標準的な体重や特徴について解説します。

小型犬の目安は体重10kg未満という考え方が主流

一般的に犬のサイズは「小型犬」「中型犬」「大型犬」等の体格による区別がされますが、実ははっきりした定義に基づいているわけではありません。

そのため、小型犬の目安は体重10kg未満という考え方が主流ではあるものの、体重7kg以下という見方もあります。

犬のサイズを体重別で考えた場合の一般的な分け方

● 超小型犬 → 4kg以下
● 小型犬 → 5kg~9kg
● 中型犬 → 10kg~24kg
● 大型犬 → 25kg~39kg
● 超大型犬 → 40kg以上

上記はあくまでも目安の数値です。仮に9kgだった愛犬が10.5kgに体重が増えたからといって、小型犬から中型犬になったと考える必要はありません。

血統書発行団体のジャパンケネルクラブ(JKC)でも、犬種は体重などの体格を基にしているのではなく、犬の用途や形態別にグループ分けがされています。

標準体重が小型犬と中型犬をまたいでいる犬種はどう判断すべき?

同じ犬種の犬であろうと、すべてが同じサイズに収まるというわけではありません。小さめの個体がいる一方、びっくりするほど大柄なタイプもいるのは、生き物として当たり前のことですよね。

だからこそ、一つの犬種に対して標準的な体重は〇kg〜〇kg、あるいは〇kg前後というように、幅を持たせた記載がされているわけですが…。

では、標準的な体重が小型犬と中型犬をまたいでいる犬種の場合は、どちらと判断すればよいのでしょうか。

たとえば、ペットの火葬業者による犬種別の標準体重を見てみると以下の様になります。

● シェットランド・シープドッグ 体重7~12kg
● ビーグル 体重8~12kg
● スタンダード・ダックスフンド 体重9~12kg

とあります。上記の3犬種は体重でサイズを分けた場合、小型犬と中型犬両方の条件を満たすことになりますよね。そのため、これらの犬種は小型犬とされているケースもあれば、中型犬にカテゴライズされている場合もあり、見事なまでに一律ではありません。

となると、小型犬なのか中型犬なのかを判断する基準は自身の感覚に従えばよい、ということになるはずです。

もしもペット可の賃貸物件で「小型犬のみ」との条件があり、上記の犬種が中型犬にカテゴライズされていたら――。小さめの犬であれば説明次第では「小型犬」と判断してもらえる可能性はあるのかもしれません。

小型犬サイズの人気犬種4選

この章では、成犬時の体重が5kg~9kgにおさまることの多い人気の犬種についてご紹介します。

柴犬

原産国/日本
標準的な体重/7~11kg

日本犬保存会では「オス9~11kg位」「メス7~9kg位」を標準サイズとしています。中型犬に分類したほうがしっくりくる個体も多く見られますが、日本犬の中で唯一の小型犬種とされていることから、小型犬と考えてよさそうです。

人気犬種ランキングでは、日本犬で唯一10位以内と大健闘。昔から柴犬の人気は根強く、初めて犬を飼う人が柴犬を選ぶことも多いようです。

しかし、この犬種は内面に独立心と甘えん坊が共存している、実はけっこう難しい気質の持ち主。しかし、5000匹以上の犬のDNAを解析した結果、狼に最も近いのは柴犬だと判明したことを考えると、なるほど納得!といったところです。

ミニチュア・ダックスフンド

原産国/ドイツ
標準的な体重/4~6kg

トイプードルが人気ナンバーワンを独占する前は、一世を風靡するほど人気が爆発した犬種です。とはいえ、今も人気ランキングの10位以内は常にキープしています。

それもそのはず、この犬種は長めの胴と短い足という個性的な姿に加え、垂れ耳ときれいなアーモンドアイの美しい顔立ちが非常に魅力的だからです。

もちろん、ミニチュア・ダックスフンドが愛される理由は、容姿が可愛らしいからだけではありません。遊び好きで愛情深いところや、小さな子どもや他の犬とも仲良くできる性質の良さが、家庭犬として理想的だからです。

とはいえこの犬種はアナグマ猟に使われていた立派な猟犬。少々頑固なところもあります。

ミニチュア・シュナウザー

原産国/ドイツ
標準的な体重/5~8kg

仙人を思わせる長い眉毛とヒゲのシュナウザーカットでお馴染みの犬種。胴体と四肢のバランスが四角いボックスタイプのフォルムをしており、見た目の印象より体重が重めなことが多いのは、ムチっとした体つきをしているからです。

とにかく食欲旺盛な犬のため、食べムラで飼い主さんを困らせることはまずありません。また、シングルコートで抜け毛は少ないですが、顔面を含めて定期的なカットが必要です。

甘えん坊で寂しがりやな性格のため、いつも家族の真ん中にいたがります。1匹だけでのお留守番は苦手なため、分離不安にならないような配慮をしてあげましょう。

シーズー

原産国/チベット(中国)
標準的な体重/5~8kg

鼻ぺちゃの顔とつぶらな瞳、細く柔らかなロングコートが特徴です。昭和の頃からずっと人気のある犬種で、令和になった今も人気ランキングでベストテンに入っています。

これだけ長い間変わらずに人気があるのは、ひとえに理解力の高さと飼い主に対する愛情深い性格によるものでしょう。また、それほど多くの運動量を必要としていないところは、高齢の飼い主さんが飼いやすいポイントです。

シーズーは年をとるごとにどんどん人間臭くなっていく犬、ともいわれています。たくさん話しかけてどこへでも一緒に連れていくことで、シーズーの魅力はどんどん増していくことでしょう。

小型犬が安全に暮らせるお部屋作りとは?

小型犬種の多くは身体能力が高いわりに、骨格そのものは思った以上に華奢な作りをしています。そのため、転倒・スリップ・ジャンプといった足腰に負荷をかける行為が、大きなケガにつながってしまうことも…。

ケガの危険性をなくすためにも、お家の中で愛犬が過ごす空間はできるだけ滑りにくい床材を敷き詰めておきましょう。特にフローリングは滑りやすくジャンプの衝撃がもろに足腰に伝わってしまうため、注意が必要です。

また、小型犬には好奇心旺盛な犬が多く、思わぬ誤飲や誤食事故を引き起こすこともあります。そのため、電化製品のコード類は見えないように配線し、ゴミ箱にはフタをするなどして物理的に犬が触れないようにしておきましょう。

小型犬の多くは体は小さくても身体能力は抜群です。ここなら届かないだろう、という高さに飛び乗ってしまうのはお手の物。骨折してから後悔するより、飛び乗らないように家具類を配置することが、愛犬の安全を守ります。

小型犬は小さくてもご先祖様は狼!一筋縄ではいきません

小型犬は体が小さいこともあって、飼い主さんが制御しやすいメリットがあります。しかし甘やかすばかりで基本的なシツケを怠れば、無駄吠えや過度のイタズラ等で飼い主さんを悩ませることになるでしょう。

小さくて可愛らしい見た目でも、小型犬の先祖はオオカミです。オオカミは群れで生きる動物であり、リーダーは絶対的な存在。その感覚は現代を生きる犬達にもしっかり残っています。

群れのリーダーとして飼い主さんがきちんとリーダーシップをとってこそ、小型犬との生活は本当の意味で楽しくなりますよ!