国によって好まれる犬種は様々ですが、日本では圧倒的に小型犬が人気です。中でも特に小さなサイズの超小型犬は大人気!小粒で愛くるしい見た目の超小型犬は、まさに生きているヌイグルミそのものですよね。

ところで、「この犬は小型犬?それとも超小型犬?」と判断に迷ったことはありませんか?

この記事では超小型犬についての定義や、人気犬種の特徴などについて解説しています。超小型犬と暮らすうえでの注意点にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

超小型犬とは成犬時の体重が4kg以下におさまる小型犬のこと

超小型犬とは、一般的に成犬になった時の体重が4kgに満たない犬とされています。しかし、これはあくまでも一般的な概念によるもので、実のところ犬のサイズについての明確な定義はありません。

日本のケネルクラブ(畜犬団体)の中で最大規模のジャパンケネルクラブ(JKC)においても、犬種の分類は犬の用途や形態に基づいています。

犬種ごとに望ましいとされる体高や体重の記載はありますが、小型犬・中型犬・大型犬のようにサイズでは分類していません。

とはいえ、よほど犬に詳しくない限り「この犬は体高30cmです」と言われても、その犬が大きいのか小さいのかわかりませんよね。

そのため、一般的な概念としては小型犬・中型犬・大型犬に分けるのが主流。そして小型犬の中でもより小さなサイズを超小型犬、大型犬の中でもかなり大きなサイズを超大型犬と呼んで区別しています。

超小型犬のはずだったのに小型犬サイズに成長してしまった!?

日本では小型犬が人気ですが、同じ犬種であればより小さなサイズの個体が好まれる傾向にあります。

ここ10年以上、人気ランキングの首位を独占しているトイプードルを見れば一目瞭然。通常サイズに比べてティーカッププードルと呼ばれる極小サイズのほうが、明らかに値段が高くつけられています。それだけ小さなサイズを求める人が多いということなのでしょう。

この傾向は、なにもトイプードルに限ったことではありません。チワワやダックスフンドといった人気の小型犬は、総じてより小さな個体が好まれています。

ところが、極小サイズという前提で高い代金を支払ったのに、成長したら4kgどころか5kg、6kgを上回ってしまった、というケースも…。

これはブリーダーに騙されたというよりは(そういうケースもあるとは思いますが…)、遺伝的要因や成長ホルモンの分泌量の差異などが原因と考えられます。

人間にしても、小柄な両親から生まれた子どもが高身長に成長することもありますよね。もちろん、その逆もしかり。

同じように両親犬が極小サイズの超小型犬だったとしても、生まれてきた子犬は両親犬より前の世代の犬が影響し、飼い主が期待していたサイズより大きく成長することは普通にありえるのです。

犬は命ある生き物。予想したサイズに成長しないなんてことは、ある意味当たり前のことですよね。

超小型犬サイズの人気犬種5選

この章では、成犬時の体重が4kg以下におさまる犬が多い犬種についてご紹介します。

トイプードル

原産国/フランス

テディベアカットで人気が爆発した、超小型犬の中では一番人気の犬種です。見た目が可愛らしいだけではなく、犬の知能テストでは全犬種中の第2位を獲得するほど賢い犬。しかも身体能力抜群と非の打ちどころがなさそうですが…。

この犬種はどういうわけか食べムラが強く、飼い主さんをハラハラさせることも珍しくありません。

また、定期的にトリミングをしないとあっという間にボサボサになってしまうため、それなりの費用がかかることを覚悟したうえで飼ったほうがよいでしょう。

チワワ

原産国/メキシコ

超小型犬といえばチワワを思い浮かべるかたも多いことでしょう。実際に、この犬種は世界で最小の純血種と考えられています。

マズルの詰まった顔に大きくてつぶらな瞳はウルウルと、可愛らしい要素満載の見た目をしていますが、中身は驚くほど勇敢で無鉄砲な犬。ライオンの尿を犬に嗅がせる実験では、他の犬種はすべて避けたのに、チワワだけは自分のオシッコで上書きしたという逸話も。

その大胆さが魅力の一つですが、小さいからという理由だけで選んでしまうと、頑固さや無駄吠えなどに悩まされることがあります。

ポメラニアン

原産国/ドイツ

フサフサの被毛とコロコロした体型は、まさに生きたヌイグルミと表現したくなるほどの愛らしさです。しかし可愛らしい見た目に反して、この犬種はかなり活動的。家でのんびりするより元気いっぱいに運動することを好む犬種です。

また、ポメラニアンの魅力である豊かな被毛はダブルコートのため、想像していた以上の抜け毛を覚悟しなければなりません。ただしカットを必要としている犬種ではないため、被毛の手入れはブラッシングが基本です。

カニンヘン・ダックスフンド

原産国/ドイツ

ミニチュア・ダックスフンドにも超小型犬サイズはいますが、カニンヘン・ダックスフンドは最も小さいサイズのダックスフンドとしてJKCでも公認されています。

とにかく好奇心旺盛で元気いっぱいです。小さいから扱いやすいだろうと考えるかたも多いですが、実は大きめのミニチュア・ダックスフンドよりやんちゃが過ぎることも。

しかし、多少頑固なところはあっても陽気で遊び好きであり、基本的なしつけができさえすれば、小さな子どもとも仲良くできる犬種です。

ヨークシャーテリア(ヨーキー)

原産国/イギリス

動く宝石と表現されるほど、なめらかで光沢のある被毛が魅力的です。日本ではテリア種の人気はあまり高くありませんが、ヨーキーだけは別。昔から室内飼育の犬として好まれる傾向にあります。

ヨーキーはテリア種だけあって気が強く、ときには頑固すぎて手に負えなくなることも。しかし、なぜか大人しいというイメージを持っているかたも多く、きちんとシツケがされなかった結果、気の強さが前面に出てしまう犬も少なくありません。

しかし、本来は勇敢で愛情深い犬。この犬の魅力はきちんとしつけてこそ引き出されます。

超小型犬と快適に暮らすための家づくりとは?

超小型犬はヌイグルミのような見た目に反し、かなり活動的。小さな体でちょこまかと駆けまわり、ソファーなどの高さがあるところにピョンピョン飛び乗ったり飛び降りたりすることも珍しくありません。

しかし、体の小さな超小型犬は骨格が華奢で骨が細く、転倒やジャンプした際の衝撃が骨折・膝蓋骨脱臼(パテラ)などの原因になることも…。

そのため、超小型犬と快適に暮らすうえで滑りにくい床を用意することはとても大切です。フローリングの場合は最低限滑り止めのワックスが必要。しかし、できればクッション性の高いカーペットやタイルマットなどを敷いたほうがより安全といえるでしょう。

また、できる限りジャンプをさせないことが足腰を守ることにつながります。ソファーを置く場合はロータイプを選ぶなど、できるだけ超小型犬が飛び乗れるものの高さを低めにおさえたほうがより安全です。

超小型犬に対して私たち人間は巨大な生き物であることを忘れずに

超小型犬は、小さな体で元気いっぱいに駆けまわるところが魅力的です。しかし、時として私たち人間のちょっとした動作や行動が大事故につながることも。

なにげなくドアを閉めたら、犬が付いてきていることに気づかず思い切り挟んでしまった。子どもが犬を抱っこしている最中に落としてしまった。飼い主が転んだ際に犬を下敷きにしてしまった…。

こういった事故は、体の小さな超小型犬にとっては致命傷になることがあります。超小型犬は軽くて抱き上げやすいところが魅力的ですが、その分衝撃などに弱いことを忘れるべきではありません。