犬といえば、シッポを振りながらカマッテカマッテと寄ってくる――こんなイメージがありませんか?しかし、犬といっても千差万別。妙にサバサバしている犬もいれば、我が道を行きたがるマイペースな性格の犬もいます。
どんな性格にもそれぞれの魅力がありますが、万人受けするのはやはり甘えん坊な性格の犬でしょう。
この記事では、甘えん坊な性格の犬が見せる行動や、甘えとは似て非なる分離不安症について解説しています。
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犬が飼い主に甘えたいときに見せる仕草や行動
犬が甘えたいときに見せる素振りには、いろいろなものがあります。しかし同じように見えても飼い主に対して何をしてほしいのかは、仕草や行動によって違いがあるようです。
①飼い主の口をなめる
犬が飼い主の口をなめるのは、子犬が親犬に食べ物をねだるときの行動といわれています。そこから考えられる行動の理由としては……
● 大好きだと伝えている愛情表現
● 自分の方に注意を向けさせたい
● 飼い主のイライラを鎮めたい
純粋に親を慕う愛情表現だけではなく、機嫌の悪い飼い主をなだめたい、あるいは飼い主の不機嫌で不安になった自分自身を落ち着かせようとしている場合もあります。
➁飼い主のそばにそっと寄り添う
飼い主がソファーなどでくつろいでいると、愛犬が体をピタリとつけて寄り添ってくることがありますよね。犬がこういう行動をとる時は、飼い主にくっつくことで安心感を得たいと考えています。
とりわけ飼い主のひざや腕などにアゴを乗せてくつろいでいるとしたら、かなりリラックスしている状態といえるでしょう。この行動は犬の甘え方としてはとても良いものです。
③じっと見つめてくる
愛犬が何かを訴えるようにじっと見つめてくるとしたら、確実に飼い主に何かしてほしいことがあるはずです。
● オヤツがほしい
● 退屈なのでかまってほしい
● そろそろ散歩に行きたい
● 面白いものを見つけたので一緒に見てほしい
また、何らかの理由で不安を感じている時や、飼い主の精神状態があまりよくない時にも、犬は飼い主をじっと見つめることがあります。
④しっぽをブンブン振る、興奮して鳴く
遊んでもらっている時や散歩に行く気配を感じ取ったときなど、犬は嬉しくて仕方がないときに激しくしっぽを振ったり、興奮のあまり甲高い声で鳴くことがあります。
また、嬉しさのあまりにその場でグルグル回ったり、飼い主にピョンピョン飛びついてしまうといった行動をとることも。
飼い主と一緒にいられる喜びで興奮している姿は可愛くもありますが、度が過ぎれば行動の制御がきかなくなるきっかけになり、そのまま習慣づいてしまうこともあります。大喜びするのは悪いことではありませんが、ある程度で落ち着かせることも大切です。
⑤ひっくり返ってお腹を見せる
犬はしっぽをブンブン振りながら飼い主に甘えているうちに、床にひっくり返ってお腹を見せることがあります。これは信頼している相手だけに見せる行動。決して悪い振る舞いではありません。
急所であるお腹をさらけだしてもらえる信頼感は、飼い主として喜ばしいものです。しかし甘えん坊の犬がこの行動をとると、オシッコをかけられる(ウレション)ことがあるのでご注意ください。
⑥家中どこへ行くにも後をついてまわる
オモチャをわたしてほしい、オヤツがほしいなど、何か理由があって後をついてくる分には問題ありません。
しかし、理由なくただひたすらついてくる、あるいは不安そうな顔で後を追いかけてくるとしたら、甘えん坊の仕草の範疇を超えています。
こういった後追いが常態化しているとしたら、分離不安症の可能性も…。愛犬がやたらと後をついてくるときは、その理由をしっかり考えたうえで対処することが大切です。
甘えん坊な性格の犬にも飼い主との適切な距離感は必要
犬が甘えてくる仕草はとても可愛いものです。しかし、すべてを犬の望む通りにしていたら、飼い主なしには夜も日も明けない犬になるかもしれません。そんなことになれば、甘えん坊を通り越して、飼い主に依存しているだけの犬になってしまいます。
たとえ目の中に入れても痛くないと思えるほど愛犬が可愛くても、何もかもを犬に合わせる必要はありません。むしろ犬の健全な精神を育てるには「何でも思い通りになる」のではなく、「きちんと行動したら願いが叶う」という成功体験が必要です。
甘えん坊な性格の愛犬が可愛くて仕方がないからこそ、適切な距離感を保つようにする――甘やかすばかりだとろくなことにならないのは、人間も犬も変わりありません。
甘えん坊な性格とは違う!犬の分離不安症
なんらかの原因で飼い主のそばから離れられなくなっている犬は、甘えん坊ではなく分離不安症の可能性もあります。
犬が分離不安症になると破壊行動・パニック・無駄吠え・自傷行為などの様々な行動をとりますが、中でも前項で述べた「家中どこへ行くにも後をついてまわる」行動には要注意!
なぜなら甘えん坊な性格と混同されやすく、飼い主が「これはちょっと異常かも」と事態の深刻さに気づくまでに、時間がかかってしまうことがあるからです。
甘えん坊な性格の犬だとしても、健全な精神状態であれば飼い主がすぐそばにいなくても眠ったり遊んだりできるはず。愛犬の行動を見ていて分離不安症ではないかと感じたら、迷わずかかりつけの動物病院で相談しましょう。
甘えん坊な性格の犬が多い犬種
犬の多くは甘えん坊な性格です。飼い主にあっさりした態度をとりがちな犬種だとしても、あっさりなりきに甘えているのです。
とはいえ、甘えん坊な性格の犬を飼いたい人にしてみれば、やはりベタベタに甘えてくるような犬種を飼いたいと考えるかもしれません。
そこで、一般的に甘えん坊な性格の犬が多いとされている犬種をご紹介しましょう。
● ヨークシャー・テリア……とにかく飼い主と一緒にいたがる、寂しがり屋タイプの甘えん坊です。
● トイプードル……本来はかなりの甘えん坊ですが、わざとそっけない態度をとることもある、技ありタイプの甘えん坊です。
● ミニチュア・ダックスフンド(ロングコート)……大好きな飼い主に「大好き」と伝えることが上手な、遊び好きの甘えん坊です。
● マルチーズ……人見知りで知らない人にはかなり警戒するくせに、飼い主にはベッタリくっついていたがる内弁慶タイプの甘えん坊です。
● 柴犬……ベタベタに甘えてきたかと思えば、ひとりになりたい時はサラッとした態度で飼い主をかわす、オンオフがやたらとはっきりしている甘えん坊です。
● ゴールデン・レトリーバー……飼い主が喜ぶことをしようと張り切る姿に思わずキュンとさせられる、献身的なタイプの甘えん坊です。
甘えん坊な犬と暮らすお部屋作りの注意点
甘えん坊な性格の愛犬が飼い主のいる時間もいない時間も不安なく過ごせるよう、ケージやトイレを設置する場所は人間の動線を考えたうえでしっかり検討しましょう。
常に愛犬の姿が確認できる場所は、同時に愛犬からも飼い主の姿が見えています。飼い主の意識が犬に向いていない時間も犬が気持ちよく安らげるよう、ケージの位置は家族の動線上ではない静かな場所に設置してあげましょう。
どうしても部屋の間取り的に難しい場合は、カラーボックス等を置いてケージを家族の視線から隠す、あるいはカバーでケージを覆うなどし、落ち着ける空間を作ることが大切です。
愛犬が正しく甘えられるかは飼い主さん次第
甘えん坊な性格の愛犬が甘えてくる姿は、私たちに大きな癒しを与えてくれます。しかし、犬が甘えてくるたびに要求を受け入れていたら、いつしかそれが犬にとって当たり前になってしまうことでしょう。
そうなってしまったら、要求を受け入れてもらえないことがストレスになります。愛犬が正しい意味で甘えられるよう、メリハリをつけるのは飼い主の役目です。