真っ赤に熟れたトマトは、見るからに体に良さそうですよね。実際に、トマトは栄養成分を豊富に含んでいながら低カロリーです。健康野菜そのものといえるのではないでしょうか。
しかもトマトは数少ない「生」と「加熱」のどちらも犬に食べさせることができる野菜です。まさしくお役立ち食材そのものですが、トマトのパワーを愛犬の健康に活かすには注意しなければいけないことも…。
この記事では、犬にトマトを食べさせるメリットと注意点について詳しく解説しています。
Contents
犬の健康増進に役立つトマトの栄養成分
トマトにはビタミンやミネラルなど、いろいろな栄養成分がバランス良く含まれています。
トマトに含まれている主な栄養成分
● リコピン
● βカロテン(ビタミンA)
● ビタミンB1・B2・C・E
● カリウム・カルシウム
● 食物繊維
中でも注目したいのは、アンチエイジングに不可欠といわれる抗酸化作用に優れた3つの成分です。
リコピン:強力な抗酸化作用が犬の病気と老化を防ぐ
トマトの赤い色のもとであるリコピンは、カロテノイドの一種です。優れた抗酸化力を持つこの成分は、病気や老化の原因となる細胞の酸化を防ぐ効果が期待できます。
体内で発生する活性酸素は悪者と思われがちですが、実は細菌やウイルス撃退には欠かせません。問題となるのは、過剰に産生されてしまった活性酸素です。
そのため、リコピンのように強力な抗酸化作用を持つ成分でバランスをとることが、病気予防や老化防止につながると考えられています。
βカロテン:皮膚や粘膜を丈夫にして免疫機能を正常に保つ
βカロテンはリコピンと同じカロテノイドの一種です。強力な抗酸化作用と粘膜・皮膚・歯などを丈夫にする効果が期待されています。
さらには免疫機能や視力の正常化においても、必要不可欠な成分といえるでしょう。
脂溶性のビタミンAは過剰摂取によって健康障害が起きる可能性を指摘されていますが、βカロテンは必要な量だけビタミンAに変換されるため、危険性は低いと考えられています。
ビタミンC:免疫系を活性化して体を守る
ビタミンCには強い抗酸化作用があり、免疫系の活性や白血球の機能を上げる効果が期待できます。
犬はビタミンCを体内で合成できるため、これまであまり栄養成分としては注目されてきませんでした。
しかし、現代を生きる犬は多くの酸化ストレスにさらされています。体内で合成する量だけでは足りない可能性を考えると、食事からの摂取にはメリットがあるといえるでしょう。
犬に与えてはいけないトマトの部位とは?
真っ赤に熟れている完熟したトマトの実には、犬の体に害のある成分は含まれていません。しかし、言い換えるとそれ以外の部分には「トマチン」という中毒性のある成分が含まれている可能性があるため注意が必要です。
トマチンとは
トマトに含まれている糖アルカロイドで、じゃがいもの芽に含まれているソラニンと構造が似ている毒性成分です。
トマチンの含有量は成長段階や部位によって異なりますが、基本的には完熟した実の部分以外には含まれていると考えたほうがよいでしょう。
トマチンが含まれている部位
● 熟していない青いトマト
● ヘタ
● 花
● 葉
● 茎
完熟したトマトやミニトマトであっても、ヘタの部分にはトマチンを含有している可能性があります。犬に与える際は必ずヘタをとるようにしましょう。
家庭菜園でトマトやミニトマトを育てているときは誤食に注意!
お家の庭などでトマトやミニトマトを栽培している場合は、犬の誤食に注意しましょう。
飼い主さんが見ていないときにイタズラをして、未熟な実・葉・茎・花などのトマチンが含まれている部分を誤食するかもしれません。
畑の中の道を通る場合も、目を離した一瞬のすきに未熟なトマトをパクリとすることがあります。
トマチンの含有量には差があるといっても、基本的には「完熟の実の部分以外には毒性分がある」と覚えておくのが一番ではないでしょうか。
犬にトマトを与えるときは生より加熱がおすすめ
トマトは生のままでも加熱してからでも、犬に食べさせることができると前述しました。しかし、犬に食べさせる場合は生より「加熱」がおすすめです。
トマトを加熱することのメリット
● 細胞壁が柔らかくなるので消化しやすくなる
● リコピンの吸収率が約3倍に高まる
トマトの栄養成分は加熱してもほとんど失われることはありません。それどころか、細胞壁が柔らかくなって壊れるため、犬の胃腸でも消化がしやすくなります。その結果、リコピンの吸収を高める効果が期待できるというわけですね。
リコピンは油に溶ける性質があるため、トマトを細かく刻んでからオリーブオイルで炒めると、簡単にリコピンの吸収率を高めたトマトのトッピングが作れますよ。
犬にトマトを与えるときに注意すること
完熟したトマトを犬に食べさせる際も、必ず次のことに注意してください。
● できるだけトマトの皮と種は取り除く
● ミニトマトも細かく刻んでから与える
犬の胃腸は基本的に野菜の消化が苦手です。そのため、トマトを加熱したとしても皮と種は消化されにくく、そのまま排泄される可能性が高いと考えるべきでしょう。
消化できない(しにくい)ものが胃腸を通過することは、消化器に余計な負担をかけることにつながります。愛犬の胃腸を守るためにも、トマトを与える際はできるだけ皮と種を取り除き、さらに細かく刻むといった一手間をかけることが大切です。
また、ミニトマトを与える際も細かく刻んであげましょう。小型犬がミニトマトをかじる姿は可愛いですが、丸飲みするとのどに詰まらせて窒息する危険性があるからです。
腎臓病・心臓病の犬はカリウムの過剰摂取に注意!
トマトにはカリウムが比較的多く含まれています。そのため、腎臓病や心臓病の犬、あるいは老犬に与える際は充分に注意しましょう。
カリウムの大部分は尿と一緒に排出されますが、腎機能が低下した犬は排出が追いつかず、高カリウム血症を引き起こす恐れも…。
腎臓病とは診断されていなくても、老犬は腎機能が衰えている可能性があります。アンチエイジングに効果があるからといって過剰に食べさせてしまうと、かえって体調不良を招きかねません。
また、血液中のカリウム濃度が上昇すると不整脈や頻脈の原因になります。心臓疾患のある犬に食べさせる際も、カリウムが過剰にならないように注意が必要です。
犬が食べてもよいトマトの適量とは?
トマトには犬の体に良い栄養成分が豊富に含まれています。しかし、だからといってたっぷり食べさせればよいというわけではありません。
どんなに栄養豊富な食材も、効果を発揮させるには適量を守ることが大切です。
1日あたりの目安量
● 体重3kgの小型犬→ミニトマト1個/トマト8分の1程度
● 体重5kgの小型犬→ミニトマト2個/トマト6分の1程度
● 体重10kgの中型犬→ミニトマト4個/トマト2分の1程度
● 体重15kgの中型犬→ミニトマト6個/トマト1個程度
● 体重20kgの大型犬→ミニトマト8個/トマト1.5個程度
● 体重30kgの大型犬→ミニトマト12個/トマト2個程度
(ミニトマト1個13g、トマト1個100gとして換算)
適量のトマトで愛犬のアンチエイジングを目指そう
トマトには、犬の健康に良い効果が期待できる栄養成分がぎっしり詰まっています。しかし、食べさせ過ぎればせっかくのトマトが仇になりかねません。
愛犬にトマトを食べさせるなら、「適量を守る」ことと「消化吸収しやすい一手間をかける」ことが必須です。
上手に犬の食生活にトマトを取り入れて、愛犬の健康長寿を目指しましょう。