毎年何気なく受けているワクチン。怖い病気から愛犬を守るために年に1回、狂犬病ワクチンと混合ワクチンを受けていますよね。ですが、ワクチンで予防できる病気がどこまで怖い病気なのかを知っている方はあまり多くありません。今回は、犬のワクチンはどのような病気にかからないために作られているのか、その必要性や、金額などを紹介します。

犬のワクチンは感染症を予防するため

犬のワクチンには種類があり、そのすべてが怖い感染症から愛犬を守るために作られています。ここではどのようなワクチンがあるのかを解説していきます。

ワクチンの種類は3種類

ワクチンには、義務と任意の3種類があり、義務である狂犬病ワクチンと、任意である混合ワクチンに分けられます。狂犬病と混合ワクチンは、動物病院やペットホテル、サロンなど愛犬が関わる施設すべてで提出を求められる可能性があるので、必ず接種しておきましょう。

混合ワクチンには、コアワクチンとノンコアワクチンの2種類があり、飼育環境により接種の種類が異なります。

ワクチンの種類 優先度

狂犬病ワクチン 生後3ヵ月以上の犬すべてに義務
混合ワクチン(コアワクチン) 任意
混合ワクチン(ノンコアワクチン) 任意

どうして狂犬病だけ義務?

狂犬病は、発症すると100%死亡する恐ろしい病気です。犬が発症すると、異常行動、性格の変化があり、目に入るものを頻繁に噛む興奮状態を経て全身が麻痺状態となり、ヨダレを垂らしながら死に至ります。狂犬病はウイルス感染で、主に噛んだ際にヨダレに含まれるウイルスが人の体内などに入り感染してしまうのです。

世界では、ヨーロッパの一部とオーストラリア、ニュージーランドの他、日本も、厚生労働大臣が指定する狂犬病清浄地域に指定され、戦後10年弱で日本国内での狂犬病は発生していません。しかし、国内での感染はないものの、海外で渡航した際に、狂犬病の犬に噛まれ狂犬病を発症し死に至ってしまう方が数年に数名確認されています。日本では今後もこの怖ろしい病気が流行しないよう、義務としているのです。

数種類のワクチンを混ぜた混合ワクチンを接種するのが一般的

狂犬病のワクチンは1種類ですが、コアワクチンは、数種類のワクチンを混合した混合ワクチンを接種するのが一般的です。動物病院によって違いはありますが、日本では、2種類~8種類の混合ワクチンが存在しています。

ワクチンの種類と参考金額

2種 3種 4種 5種 6種 7種 8種
病名/料金 3,000~5,000 3,000~5,000 5,000~6,000 5,000~7,000 5,000~8,000 6,000~9,000 7,000~10,000
コアワクチン ジステンバー
伝染性肝炎
アデノウイルス2型
パルボウィルス
ノンコアワクチン パラインフルエンザ
コロナウイルス
レプトスピラ(イクテロヘモラジー)
レプトスピラ(カニコーラ)

※動物病院により接種できるワクチンの種類や価格が異なります。詳しくはかかりつけ動物病院にご相談ください。

ワクチンで予防できる病気

ワクチンで病気が予防できるのはどのような病気なのでしょうか。ここでは、ワクチンで回避できる病気について解説していきます。

ジステンバー

ジステンバーウイルスによって発症する病気です。感染経路は、感染した動物との接触や、感染した動物のセキやくしゃみなどから飛沫を吸い込み感染します。一見、風邪の症状に似ていますが、発熱の他に神経症状が出現し、最終的には死に至る確率の高い病気です。

伝染性肝炎

アデノウイルス1型が原因の病気です。感染経路は感染犬の尿や唾液などが犬の口の中にはいることによって感染します。この病気の特徴は、病気の形がいくつかの形にわかれていることです。急激な悪化をしてしまうと死に至ってしまう病気です。

アデノウイルス2型

発熱や食欲不振など風邪のような症状の病気です。肺炎を起こすこともあり、さらに他のウイルスとの同時感染により重症化しやすい呼吸器系の病気です。

パルボウイルス

パルボウイルスによって引き起こされる感染症です。症状は嘔吐や下痢の他、白血球の減少が特徴的です。特に治療法もなく子犬は特に致死率の高い病気です。

パラインフルエンザ

パラインフルエンザウイルスによって引き起こされる呼吸器系の病気です。一般的に多くの犬がお互い接近している状態で発症することが多くあり、飛沫感染で感染します。症状は風邪のような症状で、ケンネルコフとも呼ばれる病気です。

コロナウイルス

コロナウイルスによって引き起こされる感染症です。下痢、嘔吐、食欲減退や元気消失などがあり、パルボウイルスと同時感染を引き起こしやすい病気です。

レプストピラ(イクテロヘモラジー・カニコーラ)

レプストピラという細菌が動物の他に人へも感染する人畜共通感染症です。感染経路は、糞や尿を触ることから感染します。国内では、14種類もの血清型あり、昔は風土病として日本に根付いていた病気でした。水辺で感染することの多い病気です。

ワクチンはいつ接種するのがいい?

愛犬のワクチンは、生後2ヵ月~4ヵ月の間に2~3回接種し、その後抗体チェックをし感染予防の基準を満たしていれば一年ごとに接種を基本としています。しかし、抗体が前回接種した日付を越えてしまうと全く抗体がなくなるのかと言われると答えはNOです。

では、いったいいつ接種するのが良いのでしょうか。

体調が安定しているとき

ワクチンは、体調が不安定なときに接種すると副作用が強くでてしまう場合もあります。例えば熱が高い場合や、あまり元気のないときには接種を控えるようにしましょう。また、愛犬によっては、季節性のアレルギーが発症するなど、何等かの疾病にかかっている場合もあります。さきほどと同じように、体調の悪いときにワクチンを接種すると思いがけない副作用がでることもあるかもしれません。ワクチンの季節が近づいてきたら、かかりつけ医にワクチン接種について相談してみると良いでしょう。

前回のワクチンと同じくらいの時期

前回ワクチンを接種したときの接種証を見ると、必ず日付が書かれています。それを基に前後1か月くらいの幅の中でワクチンを接種するのもよいでしょう。

ワクチンの注意点

ワクチンを接種する際どのようなことに注意すればよいのでしょうか。ここでは、ワクチンを接種するときに知っておきたい注意点を解説していきます。

狂犬病ワクチンと同時期には接種しないほうがよい

ワクチンを接種するなら、狂犬病と混合のワクチンを1回で同時に接種できないか、考えることもあるでしょう。しかし、多くの動物病院では、狂犬病と混合のワクチンの同時接種は行っていません。その理由として、身体への負担が大きくなってしまうことがあげられます。また、狂犬病のワクチンを打ってから、混合ワクチンを接種する場合、約1か月程度感覚を空けることを推奨している動物病院も多いでしょう。

疾患を持っている場合は獣医師と必ず相談する

狂犬病や混合のワクチンは、ウイルスなどの病原体を弱らせたものを体内に入れ抗体を獲得するものです。そのため、身体の免疫機能が弱かったり、疾患を持っていたりする場合は、体調不良を引き起こすきっかけにもなってしまいます。愛犬が不用意な体調不良を起こさないよう、必ずかかりつけの動物病院で相談したあとにワクチン接種をするようにしましょう。

定期的な接種で怖ろしい病気から愛犬を守ろう

狂犬病や混合のワクチンは、命を脅かす恐ろしい病気にならないために接種をします。特にドッグランやおでかけなど不特定多数の犬や人が多くいる場所に行く場合は、必ず接種をすることをおすすめします。動物病院の中には、前回接種したときの記録を辿り、ダイレクトメールなどで接種のお知らせをしてくれる場合もあり便利です。いつまでも愛犬に元気でいてもらえるようワクチン接種は忘れずに行いましょう。