飼い主:ふぅちゃんのママ
愛 犬:ふぅ


きっと、私達家族は譲渡会に呼ばれたんだ。
ふぅちゃんに。

いつか犬を家族にしたい、それならば保護犬をと考えていた私達は、まずは社会見学のつもりで譲渡会に行ってみようということになった。簡単に決められることではないから慎重に、でももしも「この子だ!」っていう子がいたらその時はその場で考えようということで出かけた。

たくさんのわんちゃん達がいる中で次々と家族が決まっていく子達を見送りながら、やっぱり今日は帰ろうか、と言った時、それまで寝ていた一匹の子犬がトコトコとやってきて私達の前で座った。

「ボクだよ。ボクを連れて帰ってね」

そう言った気がした。
いや、言ったんだ。

ころころでふわふわのその子犬を腕の中に招き入れたら、そのまま両手を固められたみたいに離せなくなったのを覚えている。

明らかに他の子とは違う感触。
キラキラとした瞳。
もしも「この子だ!」っていう子がいたら…それが現実になった。あの衝撃は忘れない。
今思えば、うちの子になることはもう前からふぅちゃんが決めていたんじゃないかと思う。

私達がこの日譲渡会に行くことを決めたのも、帰り際に私達の目の前で座ったのも、ふぅちゃんのシナリオ通りに進んだことだったんじゃないかなって。
出会えたことは偶然のようで、きっと必然の始まりだったんだ。

あの日から、ふぅちゃんといる一日一日がすごく大事。
一秒一秒がとても愛おしいよ。
私達を見つけてくれて選んでくれてありがとう。

(2023.08)