飼い主:ゆいちゃん
愛 犬:左近(さこん)



左近が初めてうちに来た日を、今でも鮮明に覚えている。
2020年、保護団体の手で命を繋ぎ止められた彼は、骨と皮ばかりの細い体で、震えながらこちらを見上げていた。かつて多頭飼育崩壊の過酷な環境で生きていた彼が、うちの子になるなんて、不思議な縁だった。

最初の頃は家中を駆け回って、物を壊したりしていたけれど、左近にとってそれは精一杯の心の叫びだったのかもしれない。
ボスやおばあちゃん、おじいちゃん、そして私たちが寄り添い、優しく撫でるたびに、彼の表情は少しずつ和らいでいった。そして気づけば、彼の毛並みはふっくらと艶を増し、目には穏やかな光が宿るようになった。

今では甘えん坊の左近は、家族全員から愛される存在だ。
寂しがり屋の彼が静かに膝に顔を乗せてくる時、その温もりは言葉にならないほど大切なものだと気づかせてくれる。
左近がくれる幸せは、私たちの愛で満たされた日々の証そのものだ。

(2025.1)