飼い主:しらたゆうこ
愛 犬:うり



高速道路のSA
犬をそっと抱く人。きっとあの人に違いない。「うり!」と駆け寄り手を伸ばすと「もう名前をつけていたんですね」と彼は微笑む。丸っと重み。想像より大きい。たった一枚の写真しか見ていなかったから。本来、保護犬猫を迎えるには家庭訪問やトライアルを経る必要がある。だから、この流れは例外。保護してくれたお宅から緊急直送という事情も大きかった。はじめましての日がうちの子記念日。迷い?ありません。はじめて写真を見た瞬間から。

はじめて会ううりは一切の情報を遮断して完全に「無」。ひとつも動かない。全身ダニだらけ。動きはじめたうりは野生犬。垣根や車の下に潜り隠れ、首輪を嫌がり、泥水を飲み、鳩を狙い、松ぼっくりを食べ、雨宿りをした。

うりは天使だった。いつでも悠々と穏やかに生きた。うりの瞳にはいつも空が映り、笑顔が映り、わたしとパパが映った。17歳と8か月。もっと一緒にいたかった。その瞳をもう一度見たかった。わがままだよね。だから、ありがとうってつぶやく。悲しい…涙…溜息…そして温もり

(2024.6)