飼い主:もんきちママ
愛 犬:もんきち



先代のわんこを見送ってから2か月程したある日、帰宅した私の元へ、突然、モサモサの尻尾を振り回しながら、まっしぐらに向かって来た小さな生き物がいた。
キレイな真ん丸の瞳を輝かせながら、「はじめまして、あなたは、だれ?」とでも言いたげな顔で私を見上げたその子は、後に「もんきち」と名付けられた子犬だった。

もう、わんこをお迎えするのは止めよう。

先代犬が旅立った日からずっと、高齢の母を説き伏せるように話してきた。母の介護をして、仕事もして、新たに犬を飼うのは無理だと判断したからだった。

なのに、何故、ここに子犬が?

母の衝動買いを責めてしまいそうになった私に、何も知らないわんこは、小さな体をピョンピョンさせながら、ね、遊ぼうよ、遊ぼうよと懸命に訴え続けてきた。

だって、あなたが淋しそうにしてたから。

そう呟いた母の声に、ハッとした。一日中わんこと過ごしていた母の喪失感は、私以上だったのだ。

だから、キミはここにやって来たんだね。私たちの新しい家族になるために。

(2024.12)